第7話 教育係

 その後、十人教育者が決められた。

 最初にいた、ガマルも選ばれていたが。

 俺には関係ない。


 俺と、トオルは個別指導を受ける事になった。


 召喚されて2日目は。

 教育者を、決めて。

 部屋は、6人部屋12部屋用意が出来たが。

 それ以上は、この城に用意するのは難しいと言われ。

 残り7人は、個別に分かれる事になった。

 2人部屋希望として。

 聖女のセイカと、勇者のサユリは2人部屋になった。

 残り5人は。


 賢者 ユウト

 勇者 カズヤ

 聖騎士 トオル

 空間 マサユキ


 そして、解除の俺。


 6人部屋は、バーリスから次のように指示された。


 ○聖女6人✕2

 ○聖騎士6人✕2

 ○暗黒騎士6人✕2

 ○勇者6人

 ○賢者6人

 ○勇者1人と賢者5人

 ○魔法使い5人と精霊師

 ○剣士2人と商人2人と鍛冶師1人と薬剤師1人

 ○剣聖5人と魔物使い


 一応この通りに、部屋割りが決まった。

 が、男女バラバラな為。

 勝手に、変える事にした。

 女性は特に、男性との同じ部屋を嫌がり。

 見た目若く、中身は中年な男達を信用出来ないそうだ。

 そりゃそうだろう、ここは異世界。

 警察は、いない。

 抑止力が無ければ、皆何を仕出かすか。

 わかったもんじゃ、ないのだから。


 一人部屋を望む者もいたが、聖女だったり。

 するので、安全の為。

 暫くは、信用出来るまで我慢して貰う運びとなった。

 あれ?

 俺は、個室じゃなくても。


 ユウト曰く、どうも俺のスキルは周りから舐められていて。

 個室にしたのは、俺の身を案じたからだと言われた。


 その可能性は、高いけど。

 一人だと、何か合った時に。

 簡単に殺されてしまいそうで、怖い。


 そう思っていた。


 が、その日の夜。

 一人になり、解除スキルを発動しようと。

 無駄な努力をしていると。

 扉をノックされた。


 警戒して。

 「どちら様ですか?」


 扉から離れて、声をかける。


 「俺だ!開けろ!」


 女性の声で、そう言われたら。

 思い付く人物は一人。


 「師匠!どうされました?」


 扉を開けると、予想通り。

 ヤンバーが、そこにはいた。


 「おい!どけ」


 そう言って、俺をどかして中に入ってくる。

 俺は、簡単に動かされ尻餅をつく。


 「貧弱だな!ろくな飯を食っていないらしいな!これを食え」


 そう言って。

 部屋にあった机の上に、ドンドン食べ物を出す。


 「師匠!その袋は何ですか?」


 「あ?これか?これは…何だっけな…そんな事は良いからサッサッと食え!」


 予想は、していたけど。

 俺の師匠は、頭が弱いタイプらしい。

 多分、空間魔法?

 どう見ても、袋に入り切らない量が。

 机に並ばれている。


 「しかしここは、せめぇな!ベッドと、勉強机しか無いじゃねぇか!」


 「そうですね。俺は、別に構わないのですが。6人部屋も、そこまで広くないらしいですし」


 この国は、ケチ?

 一応約束は、守られているが。

 部屋は狭いし、食事も肉など出ないし。

 皆不安に、なっている。


 「まぁいいや、お前は食べてていいから。俺の話を聞いていろ!」


 「はい!師匠!」


 美味そうな飯を前に、我慢できずに食べ始める。

 うまい!!!


 肉料理も、サラダも、パンも。

 少し味濃いめで、体に染み渡るようだ。


 「アンバーが言っていたが、ろくに食べて無いのだろう。それじゃあ、俺の指導に耐えられん!しっかり食え!」


 「ありがとうございます」


 「返事はしなくて良い!食べかすが飛んでくる!」


 「師匠が、食べないのに俺だけでは申し訳なく…」


 「俺は、コイツがあれば十分だ!」


 と、多分酒瓶を出す。

 ゴクゴクと、美味そうに飲んでいる。


 「何だ、そんなに見ても。これはやらんぞ!無理を言って、酒場の奴に飯を作らせたんだ!残さず食えよ!」


 何となく察した。

 酒場で、酒を買い。

 無理を言って作らせたのを、持ってきてくれたのだろう。

 だから味が、濃く感じるのだろう。

 酒のツマミは、濃いめに作られるからな!


 「お酒は、得意では無いので。大丈夫です。どうぞお話下さい」


 「そうか。よし!まずは、この国の状況からだな!」


 この国、他国より貧弱で。

 戦力も乏しく、戦争になれば勝てる国が無い。

 なのに、上層部は自分の懐を温める事しか考えていない。

 駄目な国だと、説明された。


 ヤンバーを、師匠に決めて正解だった。

 こう言った情報は、多分ユウトたちが決めた先生達から。

 教えられる事は、無いだろう。


 今回の召喚も、魔王が誕生し。

 毎回我が国が、召喚の儀を執り行い。

 召喚された者達と、協力して魔王を倒して来たが。

 他国が怖いのと、勇者を渡す代わりに。

 金を受け取る約束を、取り付けている為。

 俺達は、売られる形らしい。


 そのお金は。

 国に、入る訳ではなく。

 一部の上層部が、受け取るみたいだ。


 ホント、駄目だなこの国。


 「師匠、俺はどうしたら助かりますか?」


 「まぁ、今のままだと間違い無く、他国に飛ばされるが。いらない存在として、捨てられるんじゃないか?」


 やはり、想像通り。

 何とか、飛ばされる前に解除スキルを解明しないと!


 「これから、暫くは俺が付きっきりで。指導してやる!だから、強くなれ!多分アンバーが、召喚された者達は。スキル取得するのが早いらしいから。何とかなるだろ」


 「ちなみに師匠は、弟子を取った事はありますか?」


 「そんなもん、あるわけ無いだろ!お前が初めての弟子だ!師匠何て、言われたのは初めてだ!」


 そう言って、笑い出す。

 情報が得られたのは、大きいが。

 アンバーさんに、頼めばよかったと。

 後悔する。


 「明日から、みっちり鍛えてやるからな!食ったら早く寝ろ!」


 そう言って、俺のベッドに入る師匠。


 「?師匠の部屋は?」


 「あ?師匠と弟子は…何だっけな?一緒に生活するんだろ?」


 寝食を、共にすると言いたいのかな?


 「流石に、女性と一緒に寝る訳には…」


 「うっせぇな!早く来い!」


 そう言われ、近づくと引っ張られた。


 「よし!寝る!」


 そう言って、寝てしまった。


 抱きまくらにされて。


 ため息を吐き、脱出する事が出来ないので。

 寝る事にする。


 童貞では無いので、この体は童貞かもだけど。

 仕方なく、そのまま寝ることにする。


 お腹いっぱい食べたせいか、すぐに眠る事が出来た。



 その頃、カズヤはバーリスの配下と寝ていた。


 バレないように、彼女は抜け出しバーリスの元へ。


 「失礼します。バーリス様」


 「どうだった?」


 「は!すぐに満足したのか寝てしまいました。食事も別に与えたのも、良かったようです」


 「なる程、洗脳できそうか?」


 「それが、私の役目ですので。お任せ下さい」


 「奴は、良い手駒になる。ここに残して、他国に放つ予定だ。他にも、洗脳出来そうなら頼むぞ」


 「は!ですが。他にも優秀な者達が、動いておりますので。半数は洗脳出来るかと思います」


 「勇者、聖女、賢者、辺りは、出来るだけ頼むぞ!そうすればワシの天下だ!」


 それを、窓の外から覗き見る存在がいる事に気づく者はいなかった。

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