第2話 異世界

 やっと、静かになった。

 焦げた後や、血液の後が残るが。

 怪我人は、治療魔法?で治されて。

 話を、聞く状況になっていた。


 「何人か、ここから居なくなってしまったが。我々は、貴殿らに危害を加えるつもりは無い。何故なら、魔王の討伐は。勇者にしか、出来無いとされているからだ」


 なる程。

 勇者にしか、倒せないなら。

 俺達を、簡単には殺さないだろうが。

 洗脳や、奴隷と言った。

 手も、考えられるし。

 勇者以外は、殺される可能性もある。

 まぁ、俺なんか。

 簡単に、殺されそうだし。

 大事にされるように、何か手を考えないと。


 「勇者とは、何でしょうか?」


 先程の、女性が訪ねてきた。


 「まず、ステータスオープンと念じて下さい。そうすると、目の前に画面が表示されるはずです。そこの特殊能力、もしくはスキルを見て下さい」


 「わかりました」


 何やら、不満顔だが。

 すぐに、驚いた表情に変わる。


 「で、出ました!特殊能力?聖女?スキル回復魔法レベル1?」


 おう、聖女ですか。

 大切に、されそうですし。

 お近付きになりたい!


 ?レベル1?

 俺の、解除には。

 レベルなんて、無かったけど。


 「私は、賢者ですな。スキルは、火魔法レベル1。風魔法レベル1等の、レベル1魔法が色々あるが。回復魔法は、無いですね」


 近くにいた、男性が告げてくれるが。

 こちらも、優秀そうだね!

 仲良くしたい。


 「羨ましいですね。私は、よく分からない解除しかありません」


 「解除ですか?何を、解除するのでしょう?」


 「魔法を、解除?とかなら凄い能力な気がしますが?」


 2人から言われて、少しは望みがあるかな?

 なんて、思ってしまうが。

 異世界の人に、聞いてみない事には…


 「申し遅れました。私は、西城 優人(サイジョウ ユウト)と言います」


 「私は、三神 聖香(ミカミ セイカ)です」


 2人が、自己紹介してくれるので。


 「私は、平野 裕一(ヒラノ ユウイチ)です」


 2人の名前は、格好良くて。

 それに比べて俺は、普通だ。

 これが、原因なのか?

 悔しくなるが、我慢する。


 「私達は、どうなってしまうのでしょう?」


 「多分、さっきオーブで確認すると。言っていたので。特殊能力を確認して、今後の話になると思います」


 「勇者では無いが、私は賢者。セイカさんは、聖女。ユウイチさん、特別能力?無下にされ無いと思いますよ」


 「何にしても、先程から話している。あの人の、話を聞きましょう」


 3人で、高い所で喋っている。

 ソラーノ・カリグラ?さんを、見る。


 「魔王が誕生し、この世界は終わりを迎えようとしている。千年前、同じ状況で。神のお告げの通りに、勇者召喚をし。勇者が、魔王を、倒して下さった。今回も、貴殿らの活躍を期待している」


 先程暴れていた奴らが、反論しようとするが。

 暴れた人間は、拘束されていて。

 反論出来ないようだ。


 「過去に、魔王を倒して元の場所に帰った勇者も。残った勇者も、歴史に名を刻んでいる。どうか、我々を信じ。行動して欲しい」


 どうも、疑う事しか出来ないのか。

 俺は、話すべて。

 信用出来なかった。

 セイカさんは、鵜呑みにして。

 魔王を倒して、子供の元に帰りたいと。

 呟いていた。


 ユウトさんは、突然。


 「1つ宜しいでしょうか?」


 大きな声を上げ、ソラーノに向かい手を上げた。


 「構わん、申してみよ」


 周りは、止めようとするが。

 構わないようだ。


 「ありがとうございます。勇者以外の人間は、どうなるのでしょうか?ここには、百人位の人達が召喚されている様ですし。戦闘を、好まない人が多いと思います。無理矢理戦わせるようなら、皆反発すると思いますが?」


 随分と、挑発的に言うが。

 大丈夫か?

 ユウトさんから離れたほうが、いい気がする。

 周りも、察知したのか。

 3人の周りに、スペースが。

 すでに、手遅れか?


 「無闇に、戦う事を強制するつもりはないか。勇者や、賢者、それに聖女は、参加して貰わないと。他の者達が、その分危険になる。そこは、理解して欲しい」


 やはり、賢者や、聖女は、特殊なのだろう。

 その他は、強制され無いと良いけど。

 今後の、対応しだいかな?


 「お答え、ありがとうございます。ですが、皆突然ここに呼び出された為に。受け止め切れない者も、出ると思う為。召喚者達で、話し合いの場を用意して頂きたい!」


 これが、本音かな?

 語尾強めだし。

 確かに、皆で情報確認したいよね。

 俺みたいな、ハズレの人がいるかも知れないし。


 「良かろう。ただ、まずはオーブに全員触れて貰う。その後に、用意しよう」


 そうだろうな、まずは勇者の確認だろう。

 いなかったら、最悪やり直し?やり直しが、出来るならだけど。


 意外な事に、皆すんなり従い。

 ドンドン確認して行く。

 ステータスオープンの事を、知らなかったのか?


 オーブに触れ、兵達から教えて貰うと。

 喜ぶ者、悲しむ者が出て来る。

 ドヤ顔なのは、ステータスオープンを知っていたっぽいやつだ。


 時々、兵達から歓声のような声も聞こえるが。

 何度も、聞こえてくる為。

 勇者が現れたにしては、数が多いと首をかしげる。


 何人も、勇者って現れるのかな?

 それとも、賢者や聖女がたくさんいたのだろうか?

 考えを、巡らせていると。

 自分の、番になる。


 「ここに、手を当て暫し待つように」


 兵の指示に、従い。

 オーブと呼ばれる。

 丸い玉に、手を乗せ待つ事1分。

 予想通りと、言うべきか。

 思った通り。

 兵達から、ため息が漏れ出た。


 予想通り、ハズレなのだろう。

 残念そうにしか、見えない。


 その反応の中、1人だけ。

 他にも、いたかもしれないが。

 驚いている人がいた。


 その人は、甲胄では無く。

 ローブ?を身に纏い。

 身長低めの、女性だった。


 思わず、話しかける。


 「すみません。少し、お話出来ますでしょうか?」


 怪訝な表情をするが、立ち止まり。

 私の方を見るので、聞いてみた。


 「私の特殊能力は、役に立たないのでしょうか?」


 「許可を、出した覚えは無いですが。良いでしょう」


 「お願いします」


 「本来、スキルには。レベルがありますが、貴方には無い様子。解除スキルは、罠探知に優れていますが。珍しい能力では、ありません。ですが、私は制限の無い解除スキルに興味があります」


 「それは、何故ですか?」


 他の兵達は、いなくなり。

 2人切りとなったのを、確認した女性は。


 「私の、姉が。治る見込みの無い、悪魔の病に掛かっている為。もし、解除出来るならと思ってしまったのです」


 なる程、他の人はクズスキルと決めつけるが。

 この人は、姉の病を治せる可能性を。

 俺のスキルで、出来るのでは?

 と、思ったから。

 他の人と、反応が違ったようだ。


これは、チャンスかもしれない! 

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