同人CDを作らんとす

第三話


 と、いうことで。オタ彼女を作るために同人活動を始めることにしたのものの、同人と言ってもなにをしてよいのだろうか。

 いわゆる同人誌というものを作るには絵が描けたり文章が書けたり、はたまたある特定の分野に精緻な知識を持っているなどの特殊スキルが必要なのだ。

 同人誌以外の同人となれば、同人ゲームが有名だろう。うあまくいけばtype-earthや最近だとイヌぱらみたいに商業化もありうる。


「うーん。でもわたしは絵も描けないし、ゲーム何て作り方すらわからないぞ」


 決心した翌日、パパっと朝食を作って食べ、ネットで同人について検索していた。


「うーん。今から絵の練習を始めても同人誌を出しても恥ずかしくないレベルまでうまくなるのは一年以上かかるし、ゲーム作りに至ってはこれ一人じゃ絶対無理だよね」


「うーん。なにか……おっ、なにこれ面白うそうASMR?」


 ネットを検索していると何やら面白そうなものを発見した。


 どうやら、特殊な機材を使って録音した脳に快楽を生み出す音源の事らしい、バイノーラル録音というのとはちょっと意味合いが違うらしい。


「これなら、わたしにもできるかも……」


 わたしは高校時代は演劇部だったし、サンプルで聴いてみた「耳元でニートの妹がだだ甘えてくるCD」というのも似たようなことができるかもしれない。


「ちょっと、試しにDL音源を買ってみようっと」


 ポチっとな。


 一時間後。


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛~。ぎも゛ぢい゛い゛~~~!」


 安物のヘッドホンで聴いているが、まさに脳がとろけるような心地よさのパソコンの前でよだれを垂らしながら痙攣してしまった。


「こ、これは、ダメだ。とりあえずzamazonで高級Bluetoothヘッドホンをポチろう。これでベッドで寝ながら聴ける」


 天啓を得たかもしれない。


 そのまま、わたしはzamazonでバイノーラル録音用のダミーヘッドマイク等機材を通販購入した。


「作るのは、同人CDに決めた!」


 これで、わたしもドのつくオタクの仲間入りかもしれない。オタ彼女を作るぞ!


「ふっっふぅ~♪」


 どんな彼女が出来るか楽しみだなぁ。

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