第30話
友達付き合い
息を上げながら、十思と二人で教室に入ると朝のホームルーム中だった。先生に怒られながら席に着くと、隣の席の菜摘に声をかけられた。
「舞が遅刻するなんて、どうしたの?あ、もしかして、十思君とイチャイチャしてたら遅刻しちゃった感じ?」
菜摘はニヤニヤしながら言ってきたが、その通りで何も言い返せなかった。
「もう、うるさい!」
私は苦し紛れにそう言って、前を向いた。
「いいな~!私も彼氏とかとイチャイチャしたいな~!」
菜摘は私のことは気にも留めずに話しかけてきた。正直、無視をしたいほど鬱陶しいし恥ずかしい。
朝のホームルームが終わると今度は皐月も参戦して絡んでくる…中学からの同級生だけど、こんな風に絡んでくる人達だとは思っていなかった。というかそもそも中学時代は私たち三人で彼氏ほしいって言ってる感じだったからだろうか。
「ほんといいな!舞が一番最初に彼氏できるなんて、ずるいぞ!」
皐月はそう言いながらニヤニヤしている。内心、皐月はこの絡みを楽しんでいるんだろうなと思った。
「ほんと、それ!ずるい!私たちにも彼氏の作り方教えて欲しい!」
皐月に便乗して菜摘も絡んでくる、私はこういう時どうやって返した方が正解なのかと疑問に思う。きっと正解はないのだろうけど、普通の女子高生だったら、「ちょっと、やめてよ~」とか何とか言って返した方がいいと思うんだけど、私はそんなことができるタイプに人じゃない。
とりあえず、私は話を変えることにした。
「あ、次の授業行かないと!ほら、二人とも行くよ」
次の授業は奏音がいる一組と合同で美術を行う。ホッとした、美術室についても二人が絡んでくるようなら、奏音の方に話しかけに行けばいいんだと思ったからである。
案の定、二人は移動中の廊下でも、教室についてもニヤニヤしながら私の惚気を聞いて来ようとする。その度に私は美術の話に変える、その繰り返しを何度もして、やっと、美術室についた。
美術室に着くと、私は二人に断りを入れて、奏音のところに向かった。
「奏音、おはよう!奏音のおかげでプレゼント渡せたよ!凄く喜んでくれて、綺麗って言ってくれた!」
私は思った、これがあの二人が聞きたかった惚気というやつかと、そう思うと、単純なこと過ぎて、考え過ぎていた自分が馬鹿馬鹿しく思えた。
「え!良かったじゃん!」
奏音は私同様に、いや、それ以上に喜んでくれた。
「うん!でさ、今週末お礼したいから、普通に二人で遊びに行こうよ!」
奏音は飛び上がって喜んでくれて、それを見て私もうれしくなった。
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