第11話
宇土は七尾が帰った後に、一人で電車に乗っていると、Lightsから七尾の連絡が来た。
「先はちゃんとバイバイしないで帰ってごめんね」
「後、また会えるかな?ちゃんとお願い事聞いてもらいたいし」
「いい暇つぶしになるからいいよ、行ってやるよ」
「なにそれ、めっちゃ上から目線やん笑」
「嫌ならいかないけど」
「嫌じゃない!全然平気!」
「分かった」
それから宇土と七尾は来週の土曜日に会うことになった。
❁
あっという間に、七尾と会う日になった。
「おはよう!」
七尾は元気いっぱいだった。
「おう」
「ところで今日はどうして、
浜横とは東宿府の隣にある、
「浜横にね、最近できた子犬カフェがあるんだって!」
そう言って、写真などをアップするSNS、タピオカを見せてきた。
「ほら~これなんて超かわいくてタピってるの!」
タピっているとは、写真に沢山のいいね、つまり沢山の方に共感してもらっているということである。
最近では、タピっているものほど若者に人気がある。
「確かにかわいいかもな」
宇土は可愛いとは全然思っていない声でそう言った。
「でしょ!でしょ!」
「後はね、この子犬カフェがある浜横通りに、めっちゃタピってるお煎餅があるのほんとにすごいんだよ!
でも、それは、驚かせたいから行くまでの秘密ね」
七尾はウィンクをした。
「とりあえず、午後になると混んじゃうと思うから速く行こ!」
「そうだな」
二人は子犬カフェがある浜横商店街に向かった。浜横商店街はカラフルな商店街が混在していて、若者が好きそうな感じが漂っていた。どこの店舗も若者も若者が行列をなしていた。その中でも子犬カフェはひときわ異彩を放っていた。
二人は子犬カフェの行列に並んで待っていた。
「やっぱり凄いね~」
七尾は前に連なっている人をみた。
「そうだな、1時間は待ちそうだな」
「だね~」
「そういえば、七尾って高校どこに通ってるの?」
「あ~そういえば、まだ言ってなかったね、
「え!まじで!」
宇土は目を見開いた。それは、宇土も通っている高校だったからである。
「俺と同じじゃん」
「そうなの!でも、正真君見たことないよ」
「あ~俺、家庭事情で夏休み明けまで休学してるから」
宇土は咄嗟に思いついた噓を言った。
「そうなんだ…大変だね」
七尾は自分が踏み込んではいけない話だと思い、深入りをしなかった。
七尾は四組で起きたことをまだ知らないみたいだった。
この時、宇土の頭の中では、十思と舞に仕返しするためのアイデアが閃いた。そして、七尾のことを利用できると確信したのであった。
それから二人は高校の話で盛り上がっていた間に、行列の一番前になっていた。
子犬カフェでは、90分の時間で子犬と触れ合うことができた。
子犬カフェでは七尾は宇土と子犬のツーショット写真を撮ったりしてるので、ほとんど、時間、シャッター音が鳴りやまなかった。次に行った。タピるということで有名なお煎餅屋さんは、虹色に着色したもち米を煎餅にしたというものであった。
それから、浜横の名物タワー、
桜田ファミリアは日本一高いビルで、約五百メートルある。
「正真君、最後に夜景を見て帰ろう!」
「嫌だ。疲れた」
「いいじゃん!最後に!見ようよ!」
七尾は小さい子供のように駄々をこね始めた。
「わかったよ、行くから、駄々こねるのやめろよ?」
七尾はニコッと笑った。
二人は桜田ファミリアの最上階にある展望台までエレベーターで登った。
耳が気圧で詰まった。
エレベーターの扉が開くと、そこには広がる街があり、ビルなどの光が散りばめられ、まるで、天の川を見ているようだった。
「わぁ~凄い!」
七尾は子供のように喜んで夜景がよく見える窓ガラスと走っていった。
「ねぇ!正真君も早く」
七尾は手招きをしていた。
流石に宇土も始めて見る景色に気分が高揚していた。
「綺麗だね…」
「そうだな」
二人は暫く、夜景に見とれていた。
「そういえば、私がこの前言った。お願いなんだと思う?」
夜景を見ながら七尾が言った。
「わかんねぇな」
宇土は検討もつかなかった。
「それはね…」
「私のお願いは、私の彼氏になることだよ…」
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