第10話

七尾達はカフェから近くにあるゲームセンターに来ていた。


ゲーム機の音が混在していて、店内は騒がしく、あたりは高校生達で溢れている。


「じゃあまずはあれからやろう!」

七尾が指を指した先には、最近話題になってる、アニメ、落ちこぼれ魔王、神を倒して世界平和、通称、落神おちかみと言われているアニメキャラクターのぬいぐるみだった。


宇土も落神は見ていたし、それなりに好きだった。



「私、これなら1発で取れる!」

自信ありげな顔だった。


UFOキャッチャーのアームは三本爪で、比較的取りやすそうだった。、七尾は100円を入れて、横から見たりして

アームを動かした。アームはキャラクターの胴体をがっしりと掴んで、そのまま景品取り出し口の方に落ちた。


「ねぇ!言ったでしょ!」

七尾は宇土にドヤ顔を向けた。


「俺も1発で取れるし」


「本当に?」

ニヤニヤしながら言ってきた。


宇土も宣言通り1発で取れた。


「凄いじゃん!やったね!」


「こんなの当たり前」


「じゃあ次は残りのお金で、板チョコ何枚取れるか勝負ね」


そういうと七尾は大量の板チョコが螺旋状に積まれているUFOキャッチャーを指した。


そのUFOキャッチャーは螺旋状に積まれた板チョコの中央に穴があり、アームでタワーを崩してゲットするという仕組みになっていた。


先攻は宇土である。


宇土はアームの先を上手く使い、数枚が落ちた。後攻の七尾は宇土が攻めた反対側にアームの先を当てた。七尾は宇土よりも1枚多く落ちた。


それから二人はタワーが無くなるまでやり、ちょうど所持金も無くなった。


宇土が53枚取り、七尾が54枚だった。


「私の勝ちだね!」


「そうだな」

宇土は悔しそうだったが、どこか楽しそうでもあった。


「ねぇ~次はどこに行く?」


「まだどっか行くのかよ」


「だってまだお礼してないし」

七尾は笑った。


「いいよ、十分楽しかったし」


「え~」

「でも、とりあえず、外に出よ」


「そうだな、」


二人はゲームセンターを出て、ぶらぶらと新原駅近くの商店街の方に行って、食べ歩きなどをしながら他愛もない話をしていた。終始宇土の反応は冷めていたが、七尾はとっても嬉しそうに話していた。日も暗くなって駅の方に向かっていると、七尾が言った。


「ゲームセンターの話覚えてるよね?勝った方のお願いをなんでも聞くっていうやつ」


「あ、そういえばそうだったな」


「私のお願いは……」


「……だよ」

七尾がちょうど喋った時に救急車が通り聞こえなかった。


「なに?」

宇土は聞き返した。


「秘密!」

そう言い残して、七尾は帰って行った。














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