第8話

裏路地


記者会見が終わった次の日に健介は自分の事務所に息子、宇土正真と加藤を呼び出した。


「半年間は学校を休んでもらう」

「学校にも連絡してある…」

健介は宇土と加藤啓介に冷たく言った。


「なんでだよ!」

「親父なら揉み消せるだろ!」

加藤は黙っていたが、宇土は激昂した。


「録音データが世の中に漏洩したことで、揉み消すことは無理になった。あそこまで、証拠があるのに、揉み消すと真実だと言っているみたいもんだからな」

「だから、犯人を仕立てあて、いじめ撲滅政策をとる羽目になった。」


「じゃあなんで、録音データを流した本人を逮捕してくれないんだよ。別のやつ捕まえる理由なんて無いだろ!」


「学生をつかめたら世間の怒りの矛先はお前たちに向くことになるからだ」

ため息を着いた


「意味わかんねえよ!」

そう言って事務所のドアを乱雑に閉めて、出ていった。


「待てよ!正真!」

加藤も追いかけて出ていった。


「なぁ!啓介」

「お前は納得できんの?」


「俺も納得行かねえけどよ…」

「怖ぇんだよ、お前の父さん」


「はァ?」

「あんなクソジジイのどこが怖いんだよ」

鼻で笑った。


「だってよ、外では誰にでも親切なのに、あんなに態度が冷たくなるんだぜ…」

「それによ、何考えてるのか全然分からなし」



「何考えてるのか分からないのは俺も同じだけどよ、あんな老いぼれだせ、恐れるもんなんて何にもないだろう?」


加藤は黙った…


それから加藤は自宅に帰り、宇土は一人で目的も無く歩いていたら、路地裏で男二人組と女子高生らしい女が揉めていた。


「離せよ!触んな!キモイ!」


「いいじゃん減るもんじゃないし、俺たちと一緒に遊ぼうぜ!」

男たちは女子高生の腕を強く握って人に見つからないところに連れていこうとしていた。


宇土は放って置こうかと思ったが、男たちの方に向かって行き、殴りかかった。


宇土は男一人の肩を叩き、振り向いた瞬間、頬に1発いれ、もう一人の腹に蹴りを入れてノックアウトさせた。


頬を殴ったやつは顔を抑えながら、殴りかかりに来たが、宇土は軽く躱し、カウンターを入れて終わらした。


「もう終わりかよ……つまんな…」


「あ、ありがとう!」


「何が?」


「助けてくれたんじゃないの?」


「俺が助けた?ちげぇよ!ちょうどむしゃくしゃしてたら、殴りがいがありそうな奴がいただけ」


宇土はそういうと路地裏から出ようとした。


女は宇土の前に出た。

「あ、あの、名前教えてくれる…お礼がしたいから…」


「教える訳ねぇだろ!」


「じゃあ、これは返さなくていいの?」

そういうと宇土の顔の前で携帯を見せた。


「あ……俺のスマホ!」

「返せ、ってかいつの間に?」


「名前教えてくれるまで返さない…」


「ったく、しょうがねぇな、宇土正真だよ!」

宇土はめんどくさい顔をして、答えた。


「宇土正真ね、わかった!覚えた!」


「スマホ早く返せよ!」

宇土は、女からスマホを取ろうとしたけど、返して貰えなかった。


「まだ、ダメ!お礼したいから、連絡先教えて…」


「はぁ?ってか、今、お前が携帯持ってんじゃん!」


「あ、そうじゃん!」

女は宇土の携帯に自分の連絡先を入力して、宇土に携帯を返した。


「あ、私のLightsの名前七尾奏音ななおかのんにしてあるから!連絡してね!」


「なんで、連絡なんかしなきゃ行けねぇんだよ!」


「それはね!まだ正真君に返してないものがあるからだよ!」


そういうと七尾は裏路地から出ていった。














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