146 フェニックスマンションAI ~異常を感じた編 その2~
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- 何故かASOにログインする気が起きない病 -
「ん~…」
今、ASOではなく…VR空間の勉強用の図書館スペースにログインしている。
何故か?
「…ちょっと遊び過ぎて勉強ヤバかったし…」
という訳である。
まだ時間が早いので高校生、且つ生徒会役員の双子姉弟はまだ高校だろう。後2時間もすれば帰宅するだろうが…
「さて…宿題終わり!」
学校で指定された範囲は終わった。後は…まだ時間があるので予習や復習をする時間はあるのだが…
「…少し寝ておこうかな?」
この図書館VRスペースでも軽くなら時間加速は可能だ。但し、パブリックではなく…専用の時間加速部屋に入れば、だが…
…結局、申請を出して時間加速部屋を1時間だけ借りた(残り時間全部ぶっ込みだけどw)
「この部屋には仮眠用の布団も完備しているのだ!…さてと、おやすみ~…スヤスヤ」
3倍加速が上限の時間加速部屋にて爆睡する千夏。果たして、3時間で不足した睡眠を回収できるのだろうか…
・
・
「…!」
「んん~?…眠いから邪魔しないでよ…」
「…って、千夏!」
「…ふわぁ~…一体何なのよ?」
起きると、実はイーストシティのクエストクリア直後で今までのは夢だった…という訳ではなく。VRスペースの図書館のこの部屋に居ると知った兄ちゃんたちが起こしに来たっていう…やだ何か恥ずかしい。
「ちなっちゃん?…延長するなら課金が発生するそうだけど、どうするの?」
嘘である。VRスペースの図書館は無料で利用できるのはわたしでも知っている。唯…利用者が急増する夕方からは利用者急増時には先に使っている利用者にはご遠慮して貰っているだけだ。
「ふわぁ~…わかった。出るから…ちょちょっ!…手を引っ張らないで!!」
自分より小さい子が手を引っ張るというのはちょっと…いや、かなり恥ずかしいものがある。VRスペースの図書館ではアバターは本来の自分しか利用できないので、正真正銘…背が高い余り好きではない自分がアバターとなるのだから…ハァ。
「?…ひょっとして気分が悪いの?」
「んーん、ちょっと眠かったので休んでただけ。リアルより十分に休憩時間取れるしね?」
10倍加速のASOよりは倍率が低いけど脳みそが休むには丁度いい…と感じている。実際、勉強に使うより寝る為に利用している利用者の方が多いと聞いたこともあるし…何よりソフトを買わなくともAギアに内蔵されているデフォルトアプリの1つなのだ。
電気代とAギアの購入費用と回線維持費だけで利用できるので、小規模企業でも広い会議室を予約して離れた場所同士でオンライン会議に利用している…なんてのも聞いたことがある。
(セキュリティとか大丈夫なのかな?…と思わなくもないけど)
取り敢えず、アンことわたし、
「なぁんか、ASOにログインする気が起きないなぁ…」
と、そのままログインせずに早い眠りに就いた…グゥスゥピィ…
- その頃のAIたち… -
「不味いな…」
「「あぁ…」」
「確かに…本業が忙しくて紛れ込むことができねぇっ!」
「「「いや、
青龍AIもだが、会議用の分身AIが一同に会していた…此処はASOとも各々の本来の仕事場とも関係無い、電脳世界に造られた小規模なレンタルサーバーに設けられたいつ見つかって破棄されても問題無いスペースだ。
「アンと切り離されて、
「うちはザックの装備として固定されてるので切り離されてはいないのだが…意思発現が制限されてしまっている。そのせいで性能がガタ落ちだと愚痴を聞かされているよ…ハァ」
「こちらはアン嬢と同じだ。元々召喚されてなかったので気付くのが遅れたのだが…症状としては同様だの」
「俺は「「「お前は仕事していろ!!」」」…うぐ」
無論、本体はきちっと仕事をしている朱雀、玄武、白虎のAIたち。
朱雀はフェニックスマンションの管理AI、玄武はキングタートル・マンションの管理AI、白虎は
イメージであるマスコットキャラは朱雀はまんま不死鳥。玄武は背中に木を生やした陸亀。白虎は愛称のまんま、可愛らしい白猫でASOのゲームに出てくる精霊としての
え、青龍?…中国でよく見られる東洋龍の姿で前足に龍珠を持ってるアレだ。描く面積の関係上、空想上の大きさでは描き切れないので中途半端な大きさでしか見られないけど…ちなみに本業は警備会社の管理AIだそうで、ASOのゲームに侵入しては敵として君臨してるのは業務ストレスの発散なのだろうか?…大変だとは思うがアンたちとしては迷惑以外の何物でもないと思われる…
・
・
「でだ…切り離された原因だが…」
「多分あれだろ?」
離れた所でこちらを睨んでいる青蛇を見る小鳥と白猫と小亀のアバター。
「ASO側としちゃ堂々とイベントに割り込まれて滅茶苦茶にされたからなぁ…」
「セキュリティ強化したって所だろ?」
「それで
信号が殆ど途絶してしまって、召喚系である
「召喚系は再召喚は無理なのか?」
「異物として処理された…と見た方がいいだろうな。ったく…ガチャ玉から出たってのに何してくれてんだか…」
「装備としての玄武の盾剣は異常部分だけ消去された…か。たった今、憑依してたAI部分が削除されたようだ…無論、性能はその時のモノと同一なのだが…」
尚、それ以外の装備品は不変だ。アンの召喚士シリーズの装備品やリンの双刀、ミーシャの踊り子の服などだ。元々ASOのゲーム内で設定されているアイテムなのでそうそう無暗にアバターから奪うことは理由も無しにできない。
「…まぁ、今までのようにチートで俺TUEEEE!…はできないだろうな」
「「そうかぁ?」」
「ん?…召喚獣や精霊が居なかったら楽はできないだろう?」
「「いやだってなぁ…」」
朱雀AIの発言に、白虎と玄武が反論すると、青龍AIが突っ込んできた。
「朱雀よ…よく考えてみろよ…今まで、あのアンがここ一番って時に何をやらかしていたかを…痛てっ!」
そんな青龍AIに物(というかその辺の床や壁のポリゴン片)を(ぶっ千切って)投げつける白虎と玄武のAIが…(苦笑)
「やめっ!ちょっ!!」
ぽこぽこぽこ…と、コミカルな音を奏でて投げては追いかける2匹と逃げる1匹。
「…あ。そういうことか」
ここ一番、いざ!…という時は、魔王ギフトの持ち主…アンが全てチートな魔法能力で何とかしていたことを思い出す朱雀。
「というか…あのギフトを用意していたASO開発が一番チートなんじゃないか?」
ついでに真実に一番近い場所に到達もしていたのであったが…当のアンたち…アンとゆかいな仲間たちは、一時的ではあるがASO離れを起こしていたのだった!
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真実に近付く程、危険にも近付いているという…
いや、何が危険なのかは不明だけども!!
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