フェニックスマンションAI
145 フェニックスマンションAI ~異常を感じた編 その1~
NPC少女に名付けしたら記憶を抹消されてイベントクエストがクリアされてた件。
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- 道路上でハッとしてフッとした…? -
「あれ?」
「つーか、此処は…」
「えーっと?」
「何かしてた気がするんだが…」
さっぱり覚えてない…ということもわからないまま、道路上に放りだされた4人はきょろきょろしていた。
「…む、そろそろいい時間か」
思ったより時間が経過していたことに気付くザック。既に中学生の加速可能時間の1時間を超過し…通常プレイ時間もそろそろ午後11時に達しようとしていた。今では加速せずにプレイしている高校生も少なく、中学生も既に落ちている時間なのでプレイヤーの姿は見えない。
「じゃあ今日は落ちるね」とアン。
「ああ」とザック。妙に疲れた顔をしているw
「アンちゃん、またね~!」とミーシャ。元気一杯に手を振っている。アンも苦笑いで緩く手を振り返しているが…
「じゃ、また」とリン。その後、壁しか見えないのに壁を見詰めているが…何か感じているのだろうか?
3人…正確には2人だが…に見送られ、ログアウトするアン。濃密な1日が終わり…現実世界に戻ったアンこと
- 翌日 -
「はぁ…何かモヤっとするんだよね…」
記憶がすっぽり抜け落ちたような…そんな感覚。
帰宅途中でぼんやりしていたのがいけなかったのか…
パパーッ!!
と、うっかり赤信号を渡ろうとして自動車にクラクションを鳴らされる。
「うわ危なっ…ってあれ?」
AIたちが色々調整してくれるので自動車が横断歩道を通過するのも珍しかったのだが…
※フェニックスマンションの管理AIは周辺道路など、1~2区画程の信号機の調整も請け負っているのだ
「うーん…まぁ考えてもしょうがないか」
千夏は深く考えず、一応注意しながら歩くことにして自宅のあるフェニックスマンションまで歩くのだが…つい、いつもの癖で信号を考え無しに渡ろうとしてうっかり異世界転生デビューを果たす所だった…
※いや、そんなデビューは存在しません(苦笑)
- 無事?に帰還! -
「あ~…まだドキドキしてるや…」
自宅マンションに入ってからの第一声がこれだった。普段、どれだけ無頓着に歩いていたかの証明だが…矢張りAIにおんぶにだっこだった千夏では、フォロー無しで危険な外を歩けないだろう(大袈裟?…いいえ、ケフィアです(意味不明))
「…あれ?」
いつもなら何もいわずとも色々用意されてたりとAIに依るフォローがある筈だが…
「何か変だなぁ?」
AIが全く働いてない…という訳ではない。マンションの入り口のドアではきちんとセキュリティは働いていたし、室内に入ってから普通に空調が自動で動いてはいる。他のマンションの室内で普通にサービスされてる範疇では作動しているといった感じである…
カチャ
「もしもし…」
『はい、フェニックスマンション・サービスです』
「えと…」
専用の受話器を取り、電話を掛ける。フェニックスマンションのサービスへ宛ててだ。外部の電話ではなく、マンション内専用の物で不備があったり変だなと思ったら使うように説明を受けている物だ。尚、相手は人間ではなくAIが受け付けており、初めて掛けた者は相手がAIだとは気付かない程だそうだ。
『…自己スキャンを完了しました。問題は無いようです』
「そ、そうですか…」
『はい。もし、異変を感じるようでしたら社の方に連絡を致しますが?』
「あ、いえ。今の所は大丈夫です…また変だなって感じたら連絡します」
『わかりました。それでは失礼致します…』
ぷつっと通話が切れる。
「はぁ~…緊張した」
以前は親が連絡していたが、今は2人共海外旅行中だ。
(一体いつまで…って1年間の世界一周の旅だっけ…今年の暮れまでは戻って来ないんだろうなぁ…時々海外電話が来るけど…いつも学校行ってる時かダイブ中だもんなぁ…はぁ)
タイミングが悪いのは親からの遺伝なのか、向こうも気にしてないみたいだけど…。しょうがないので返事はいつもメールと添付した短い動画での返事くらいだ。
(それでも喜んでいるみたいだからいいんだけどぉ~?)
それより、いつの間にか切れちゃったフェニックスマンションAIの加護みたいな溢れんばかりのフォローサービスだ。一体どうしちゃったんだろう?
だけど、その時わたしは一時的なモノだと思っていたこの現象が…1週間経っても元に戻らないことで危機的状況に陥っていることに遅まきながらも気付いたんだけど…それはゲーム世界にも影響していたというか…そちらから現実世界に影響が出ているということには気付いてなかったんだ…
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ザック 「えっと…あれか?「トリさんが強制的に消されたアレ」」
アン 「多分…」
ミーシャ「トリさんってフェニックスマンションと何か関係あるの?」
ザ&ア 「え?今更そこから?」
※ミーシャ姉ちゃんは結構鈍感ですw
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