143 外界西街(アウターウエスト・シティ)外伝 ~ホラーハウス その7~

孤児少女を救えという隠れクエストも佳境?に…ザックはご当人のアタックで絶賛気絶中だ!

それはそうと、裏庭の先のバラ園の主はバラ炎と化し燃え崩れた。一応報酬らしい報酬は貰ったので面倒そうなので戻ろうという意見もあるが…さて?

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- ザック覚醒 -


「う、うーん…」とザック。男がこの台詞を吐くと何か知らんがムカツク…のは気のせいか?w


「お、眠れる森の美男子が起きた」とミーシャ。無論反語であるw(アバターはモブ顔なので)


「起きたか。寝坊助」とリン。キツイお言葉であるが荷車を引っ張っていたのは筋力と持久力がザックを除いて一番の彼女だからキツイ言葉も受け止めなくてはならない。男は辛いよ…


「兄ちゃん、お早う?」とアン。特に何もない為のフラットな態度なのだが、この時だけは普通って何て素晴らしいんだとザックは思ったそうだ…まぁ、普通が一番だよね?



〈ザックはレベルアップしました!〉


〈NPC少女の好感度が上昇しました〉


〈これに依り、出合頭に攻撃を受けなくなりました!〉


〈バラ園から伸びる通路から孤児少女がこちらを覗いています。話し掛けますか?〉



そして、ザックの目前には「Yes/No」の選択肢が浮いていた…



「なぁ…」


「「「何?」」」


「あのNPCに話し掛けるかどうか、選択肢が出てるんだが…どうしようか?」


「え?…あんた出合頭に即死に近い攻撃を受けたじゃない?…危ないからよしてよね…」


とミーシャ。既にHPはナチュラルにアンに依って回復しているので「HPだけは」全快している。口ではそんなことをいっているがミーシャは弟を想っての発言だ…所謂ツンデレ?(ミーシャ「何で弟にデレなきゃなんないのよ!」)


「…次は助けないわよ?」


とリン。ザックは気絶していたのでわからなかったが、リンの膝枕はとても心地良かったに違いないが…ほんのりと頬を染めている所から、矢張り恥ずかしかったのだろう。緊急だったとはいえ、人前で膝枕を披露するのは2度としたくないと思っているようだった…


「自殺希望?」


尤も辛辣だったのはアンだったw…あのスキルを考えればそう思ってもしょうがないとはいえ、ザック自身はまだ見てないので首を傾げざるを得なかった。ザックはパーティチャットログを見ろといわれて過去ログをスクロールさせて見て引き攣っていた。無理もない…


「ま、まぁ…もっかい彼女を見てみてくれ」


ザックはアンに頼み、再び鑑定をして貰った。


「あ~…確かに。まだビビってるけどいきなり襲ってくる感じじゃないみたい…」


鑑定結果を張り付けてはくれなかったが、態度は軟化しているらしい。


「それよりリーダーを一時的に変えてみない?」


話し掛けられるのはパーティーリーダーだけであり、それが異性…つまりは男性だと色々と問題があるようだ。ザックは仕方ないと一時的にリーダーをアンに譲渡した(ミーシャとリンでは色々と問題が出そうだった故に、中立に近そうなアンに譲渡したという訳だ)



- アンとの会話 -


「えと…初めまして?」


「何で疑問形なのよ…は、初めまして…」


「うん…わたしは「アン」よ。あなたは?」


「う…あたしの名?…んと…多分、無いか…忘れちゃったわ」


『ななしのごんべ?』とミーシャ。


『失礼だろ…』とザック。


『ふむ…興味深い』とリン。


3人はアンとNPC少女の会話を邪魔しないようにとパーティチャットで会話していたのだが…


「…何か馬鹿にされたような?」


と反応する。


『げ…何となくで看破されてるっ!?』とミーシャ。


『NPC少女はエスパーだった?』とリン。


『あのなぁ…』とザック。3人の中では一番の常識人な気がする…(苦笑)


「そっかー…(流石に名無しの権兵衛じゃ可哀そうだし…)じゃあ、仮名でもいいから名前、付けちゃっていい?」


アンは言外に(ゴンベちゃんとかじゃ可哀そうだし呼び辛いしなぁ…)と思いつつそう提案すると、


「う…じゃあ…石を投げつけて…その…謝罪とかそういうんじゃないけど…」


と、ザックに命名権を与えるNPC少女。


「え?…俺?」


何故か彼女の中で好印象上昇中のザックに、意外…とミーシャとリンがザックを…睨むw


「え?…何故睨む?」


「「さあ?…自分の胸に手を当ててよぅく考えてみたら?」」


「んな理不尽な…」


そんなやり取りを見ていて、NPC少女が不意にクスクスと笑みを浮かべる。恐らくは…今のやり取りからザックの人となりと周囲からどんな目で見られているか…どんな立ち位置なのかなどを判断したのだろう。そんな笑顔を向けられたザックはというと…


「俺でいいのか?」


と目をNPC少女に向けながら問う。


「…はい」


「「はいはいはい!んな甘酸っぱ過ぎて口から佐藤を吐きそうなんで早い所決めてくれませんかね?」」


「いや…佐藤さん吐くの?…人間製造アバターとか不気味過ぎるんだけど…」


2人のザックへの罵詈雑言が誤変換していてアンに突っ込まれるw…全国の佐藤さん、御免なさい…


━━━━━━━━━━━━━━━

誤:佐藤を吐く

正:砂糖を吐く

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