136 イベントが終わったら… その30 ~PvP その後…その13~
港町「シー・フッドゥア」から転移ゲート経由で「
リンは先の戦闘の興奮が冷めやらぬ…と周囲からは見られていたが、実は違う。同業者の匂いに感付いた彼女は殺られる前に殺る…という行動基準で首に必殺の刃を当てたのだ。もし、殺りに来た者ならば…と思っていたのだがその彼は素直に謝罪した為、一命を取り留めたのだった…無論、こちらの腕前を測るという目論見も、リンにはバレていた訳だが…
こうして、命懸けのナンパ男はその命を散らす前に逃亡することに…この街はアンたちに何をもたらすのだろうか?
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- 用意されているイベントという意味では、既に… -
「はぁ…歩けど歩けど…何も起きないな?」
「ナンパばっかだったねぇ…」
「「ウザイ」」
ウエストシティの街中を冷やかしついでに歩いていたが、ミーシャとリンにナンパ目的で絡むプレイヤーだかNPCだか不明な男性たちが群がるだけで、ザックとアンはスルーされていた。
「確かに、姉ちゃんは半透明の踊り子の服でエロいし…」
「リンちゃんも装甲や布地が少なめな忍者装束だしねぇ…」
局部は勿論、見通せない布地だが…体全体を覆う布地は半透明で見えないからこその色気を漂わせる踊り子の服は通常の服より涼しいので、砂漠などの暑い地域で着るのは適しているともいえる…だが、男の目を誘う効果もある故に、異性の目を惹き付けるのだ…(装備としてはそんな効果は無く、あくまで見た目そうなっちゃうだけだw)
忍者装束は余計な音を出さないように装甲は少なめ…隙間を作って装甲版が擦れないように工夫が凝らされている。肌地は極細の鎖帷子で覆われているが光の反射を極力抑えているので肌色の方が目立ってしまっている…故に、遠目には装甲版以外は肌を晒しているように見える忍者装束は半裸のクノイチが歩いているに等しい…まるで、「クノイチはエロくなければ!?」…という開発の想いが込められてるかのような…(ギクゥッ!?)
「…リン、その忍者装束、大丈夫なのか?」
「大丈夫。魔法で防御力を上げている」
「…アンか?」
こくりと頷くリン。どうやら半永久的なマジックアーマーが付与されているらしい。いや、それでも耐久値ってものがあるだろう?…と思っていたのだが。
【忍者装束の鑑定結果】
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◎名前:初期忍者装束
◎備考:耐久値無し(=破壊不可属性)
※効果期限は装備者の死亡まで=MP供給が途絶えるまで
※攻撃における全属性に対する耐性。受けるダメージの25%をカットする
尚、初期支給装備の為、売買も、殺すことに依るドロップもできません
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「うわぁ…」
まさかのぶっ壊れ性能だった。普通は一定期間…例えば初期付与魔法だとダメージの1%を10分間カットするとかだが…
「死ぬまでってことは、保有MP上限がちょっと下がるとかか?」
「5%程下がる。MPは身体強化系にしか使わないので割と余ってるので余裕」
「あ~…五遁はSP消費だっけか」
頷くリン。火遁などの忍術はSP…盾士でいうシールド系スキルを使うのと同様、SPを使うスキルと同列らしい。つまり、忍者は魔法系とスキル系の両方を使いこなしてこその職業なのだ。無論、コモンスキルにもSPを消費して発動するスキルは存在するが、大抵は魔力を…MP消費で発動する物が殆どなのだ。
精神力=魔力=MPを消費して発動する魔法系。体力=SPを消費して発動する身体制御系…とでもいうのだろうか?…中にはどっち付かずの体系もありそうだが、そこは開発の匙加減なのだろう…多分…きっと。
「うっとおしいから…トリさん!」
〈クエ!〉
ばささささっ!!
…と、顕現するフェニックス。成体と成った
「で…でかくなった、なぁ…?」とザック。トリさんといおうとしたが、この雄々しいフェニックスにそんな呼び名でいいんだろうか?…と躊躇して言葉を飲み込んでしまう。
「本当…でも」とミーシャ。リンがその後を引き継ぎ…
「熱くない」とあっさりと独り言のように締め括る。いや、そこは「アツクナァ~イ!」ではないのか?w
「で…何で進化してるんだ?」とザック。確か召喚獣って召喚して一緒に戦ったり横に居ないと経験値は入らないよな?…と考えている。
「んふふ~…それはねぇ」
と、アンはステータスの一部をコピペしてパーティチャットログに貼り付ける。
【召喚獣・精霊のオプション】
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◎取得した経験値のカプセル化:[オン] / オフ
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「…これは?」
「気付いたらオプションにこんなのあってねぇ~…カプセル化すると未召喚の召喚獣や精霊に後で経験値を分け与えられるんだって!」
精霊や召喚獣を持たない者には、当然ながらこんなオプションは表示されない。ミーシャも自らのステータスを表示して探すと…
「あ、本当だ。あった…」
そして、グチグチと
「本当…此処の運営はこういう大事なことを告知せんと…」
と唸っていたw
「…公式サイトにはこれの説明って無かったのか?」
「うーん…一応見てみたら、アップデートのお知らせの中にちんまい字で書かれてたよ…余程気になって読み込まないと気付かないくらい、サラっとね…」
まるで悪徳金融の小さい字で大事なことを気付かせないように書かれているような案件であるw…契約者が余程注意深くなければ気付かないようにと…それは兎も角、
「過ぎてしまったのは仕方ないわね…よおし!」
と、ミーシャは経験値のカプセル化機能をオンにしていた。
「…ちなみに、このカプセルってどの程度の割合で経験値を吸うんだろうな?」
「公式の説明では取得した経験値の10%くらい。召喚獣や精霊を召喚してる時と同じ割合だよ」
ということだった。大量破壊兵器と同義のアン(魔王)は兎も角、アンと比べるとまだまだなミーシャ(賢者(厨))ではそれなりの負担になりそうだなぁ…と思うザックであった。
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忍者もレベルアップにはそれなりに大量の経験値が必要な為、リンはアンたちがログアウトしてる間…隠れて狩りに精を出しているのかも…知れない?w
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