133 イベントが終わったら… その27 ~PvP その後…その10~

暗黒街のボスの屋敷に潜入。そして天井裏の隠し部屋らしき部屋に入ると転送魔方陣が…全員がその上に乗ると、強制転移が始まりシステムメッセージが語る…「ボスルームへ転移する」と!

そして現れたのは一面の花畑。その中央には慰霊碑だか墓石らしいオブジェクトが…アンが触れると魔力光が満ち…いよいよラスボスが顕現するのでした!

※魔力を扱うマジックユーザーが居ないと現れないギミックなので、討伐不可能だと現れない模様

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- 巨大アンデッド…見た目リッチぽ? -


「来たれ!…そらを駆ける巨大で偉大なるモノよ…我が敵を打て!…メテオ・ストライク!!」


「ちょおっ!…アンちゃん、何でそんな厨二病的な前振りを!?」


アンが厨二病全開で余り意味が無さそうな前振りというか呪文的な詠唱を唱え、そして今までに使ったことのない魔法名を…コマンドワードを叫ぶ。そして自らが唱えてないのにダメージを受けるミーシャと、ザックの目の前では笑っちゃいけないが笑える光景が展開していたw


ずずずずず・・・・・


花畑の上…暗く奥行きが不明な空に赤黒い巨大な物が現れる。まるでそこに穴が空いたかのようになり、そこから巨大な岩塊が現れたのだ。この空間に現れた岩塊は時間が経つにつれ…加速されて、全ての姿を現すまでに1秒と掛からず…


結界バリア!!」


アンが次のアクションを起こし、結界が4人を覆う瞬間には岩塊が敵ボスに激突していた…


「なっ…!?」


「間に合った…」


「何てスピード…」


「間に合わなかったら、自滅する所だった…」


ザックが驚愕の声を上げ、ほぼ同時にアンが間に合ったと安堵の声を上げる。ミーシャとリンも僅かに遅れて各々の台詞を絞り出しているが…


「まだ…バリアの代わりのローブを焼却しただけ…」


リンが警告を発する。


「!?…十重結界テンレイヤー・バリア!!!」


伸びて来た骨の巨大鎌が先に張った結界を破壊すると同時に10の結界を同時に張る十重結界をギリギリのタイミングで張り終える。


バリバリバリバリバリ~~~ンンン………


ギギ…


それにも関わらず、外側の5層の結界を断ち割り…6つ目の結界が鎌の刃を噛み、留まらせていた。


「追加!…十重結界テンレイヤー・バリア!!!」


パパパパパパパパパパ!!!


大鎌を咥え込んだ状態で更に10枚の結界で覆い、合計15層の結界がアンたちを包む。通常ならば、この結界のせいで魔法は外部に発動できず、攻撃はできないのだが…


「甘い…爆炎魔法ファイヤーボール!!」


MPポーションを一息に飲んだ後、アンは数多のファイヤーボールを宙に浮かせ…否、巨大なスケルトンを包囲するように生み出す。そして一斉に発射して視界は爆炎で埋め尽くされて赤や黄色で敵ボスが見えなくなる。


「でっかい骨みたいだけど…まさか、スケルトンがボスって訳じゃないんだろ?」


そんなザックの疑問に、


「うん…あれ、リッチをベースにしたイレギュラーボスみたい」


「イレギュラー?」


「えっと…」


アンは鑑定結果を張り付ける。どうやら聖属性攻撃をほぼ防ぐあのローブが鑑定ジャッジをも阻害していたようで、メテオストライクで焼け落ちて殆どの機能を喪った状態では鑑定が通るらしい。



【敵ボスの鑑定結果】

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◎名前:暗黒街のボスの成れの果て

◎種族:リッチ・イレギュラー

◎備考:暗黒街のボスと直属の部下がリッチに取り込まれた結果、生まれた存在

    更に下の部下たちと捕らえた奴隷たちの魂力を取り込み、異常ともいえる存在力を得た

◎対処:アンデッド化した部下や奴隷たちがライト浄化の明かり清浄化クリーンで浄化

 方法 されている今、その存在力が半減している。倒すなら今でしょ!

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「…いや、その」


「対処方法の最後、絶対運営の…」


ザックとミーシャが心底疲れたと突っ込むのも億劫になっている今、リンがアンを見る。


「付与魔法を」


「あ、うん。炎熱属性を付与」


リンの双刀が僅かな熱を帯び、刀身も赤く染まる。鞘に納めるならこれくらいで問題無い。攻撃時にだけ、その威力を発揮できればいいのだから…そしてリンは刀身に宿った力を見て頷き、


「あ、追加ね。身体強化フィジカルブースト!」


各種ブースト効果を短縮形のコマンドワードで一度に掛け、リンは跳ぶ…敵ボス目掛けて!


「…ぁぁぁあああ!!!」


最初は黙っていたリンだが、次第に大きく雄叫びを上げ…


〈ぐおおおおお!?〉


最初の一撃は蹴りを眉間に一撃。よろめくリッチが何とか踏ん張っている間に何も無い筈の空を足で捉えるリン…空歩のスキルだ。そして全力で蹴り、よろめいてるリッチを斬る。


ギィンッ!!


1KILL


ギィンッ!!


2KILL


ギギィンッ!!


3KILL


そして、次第に短くなる間隔に、斬り付けた総数が4桁直前に到達する頃…


999KILL


ビキッ…ビキビキビキ…


スケルトンの骨格にヒビが入り、それが全身を覆うと…


バラバラバラ………


と、崩れ落ちる。全ての骨の破片は赤く溶断されており、次第に冷え固まって行く…



「アン。これで効くんじゃない?」


「え?…あ、うん」


視界に全ての骨の欠片が入るように位置取りし、アンは唱える。


清浄化クリーン!」


ぱあああああ・・・・・!!!


ライト浄化の明かり!!」


ぱあああああ・・・・・!!!


聖属性魔法の二重掛けに依り、暗黒街のボス「リッチ・イレギュラー」は、こうして大量の灰となり…大量の成仏する魂をその空へと駆け上らせることとなったのだった…


ありがとう…

これでみんなのもとへ…

くるしみからかいほうされる…


様々な言葉が脳裏を過ぎった気がするが…。中には、


ありがとう…折角作ったシナリオも、これで浮かばれる…


と、運営だか開発の人間の魂の叫びが聞こえた気がするが…気にしない方がいいだろうと思う(苦笑)


━━━━━━━━━━━━━━━

念を込め過ぎてると思う(苦笑)

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