131 イベントが終わったら… その25 ~PvP その後…その8~

暗黒街のボスの屋敷に到着したはいいものの、その中庭は迷路のように広大であった。

罠も設置されている為、アンたちは迷う上に罠で四苦八苦する…と思うだろうがそこはチートの権化…アンが居る。彼女の探知スキャンとリンの危険察知スキルに依り、サクサクと迷路を突破した先にはようやく屋敷が見えてくるのだった…

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- 再び清浄化クリーンを実行! -


「…何か、薄汚れているわね?」


「届かなかったのかな?」


「もう1度やればいーんじゃないか?」


リンが周辺警戒をしている間、暗黒街ボスの屋敷を見て適当な台詞を吐いているミーシャ、アン、ザック。ザックの言葉に頷き、アンは今一度清浄化クリーンを実行する。


「…この世の汚れを、悪しき考えを清め、祓い給え…清浄化クリーン!!」


ミーシャの厨な前口上を真似てみました♥…みたいなノリでクリーンを実行するアン。背後でミーシャが恥ずか死しそうになっているのを他所に、目を潰すが如く…真っ白な波動が周囲を埋め尽くし…心の底から癒されるが如く清らかな風が地面から吹き上げてるような感じがし…


「おお…何か凄い体が軽くなったな」


「このまま寝てしまってもいいくらい…」


と、ザックは元々悪感情が少ないからか、特に問題が無いようだが…ミーシャはアンに対する愛が重いことでその余りよくない感情が取り払われたことで力が抜けて倒れてしまっていたw


「ミーシャ、寝てるなら置いていく」


と、リンが突っ込んだお陰で慌てて起きてるが…(苦笑)


「姉ちゃん、そこで寝てる?」


「う…今行くから…ちょっと待ってぇ~っ!!」


ザックが苦笑いをしながら玄関の前で待っていたのが印象的だった…かも?



- 屋敷の中に潜入!(全然潜んでないけど) -


「…中は全然浄化されてない感じだな?」


「そだねぇ…外観はできたての教会かっ!?…ってくらい神々しかったけど…」


「中は物々しい…」


「暗いしね…ライト浄化の明かり!!」


ザックが目を凝らしながら中の様子を見ている中、ミーシャはのほほんとお気楽な調子で外と中の差を比較して呟き、リンが短く中の様子を評価していた。そしてアンは暗いといつもの明かりを灯すと…


〈ぎょええええええ・・・・〉


〈キシャアアアアア・・・・〉


〈キャウゥ~ン・・・・・〉


と、絶叫というか断末魔が響き渡る。どう聞いてもアンデッドの断末魔です。ありがとうございます?


「「あ…レベルアップした」」


ザックとミーシャが同時にレベルアップしたようだ。尚、上位クラスのリンとアンは据え置きのようで変化は無かった。



・ザック :双盾士Lv26→27

・ミーシャ:賢者(厨)Lv25→26

・アン  :魔王Lv28

・リン  :忍者Lv24



「なぁ…ひょっとして」


「多分ね…」


「何が?」


「いや…このフロア全体のアンデッド、倒したんじゃないか?って話なんだけど…」


ザックとミーシャの会話にアンが嘴を突っ込むと、ザックの予想が返り、一応という訳でアンが敵走査エネミー・スキャンを実行する。


「…うん。1階だけじゃなくて、吹き抜けの上の2階のも全部灰になってるみたい」


「「うは…」」


想像の斜め上の結果にザックとミーシャが驚きを隠せない。


「…その灰は?」


リンの端的な問いに、


「…んーっと、元々盗賊や強盗なんかの悪者の成れの果てだね。持ち帰って蘇生する?」


「…いい。そのまま成仏させましょ」


ゲームのNPCだから成仏も何もないもんだが、どうやら此処はダンジョンと化しているかも知れない。そのまま放置すれば床に吸収されてまたリポップする可能性はあるが…経験値の元になる訳でそれもいいかもとアンは考えて頷いておく。どちらにせよ、ドロップ品がGOLDと灰しか無いアンデッド。灰以外はアイテムボックスに自動回収されているのでわざわざ拾いに行かなくてもいいのだ。


(鑑定したら「血も凍る極悪人」とか「非情な殺人犯」とか改心するかもわからない称号が付いてる人ばっかだからねぇ…まぁいっか)


面倒臭そうだったので基本放置スルーでいっかと考えるアン。せめて、ここに来た冒険者の経験値の素になって役立ってね?…という慈悲の心で(それもどうかと思うがw)


そして一行は2階も探索するが、基本「ライト浄化の明かり」でポップしていた敵アンデッドは排除され、汚れている場所は清浄化クリーンで浄化してついでに排除される運命にある追加ポップしたアンデッドたちに慈悲の心が芽生え掛けるザックとミーシャだが…w


「3階は隠し部屋なのか…」


所謂天井に設置されていた階段を仕掛けスイッチにより降ろしてから登って行くとあった訳だが…そこそこ小さい階段なので1人づつしか登れない。此処で唯一男性であるザックが先頭として順番に登って行くことになる…理由はいわずもながだ!(スカート姿なのはアンだけだがw)


「何も無いな…上がって来ていいぞ!」


先に登ったザックが安全確認をして、ミーシャ、アン、リンの順番に階段を登って行く。


「…しかし」


「真っ暗」


「アン」


「ほーい!」


ライト浄化の明かりを唱えると、闇が排除されて部屋の中が見えてくる。駄菓子菓子…


「何も見えないぞ?」とザック。


「あれ、何だろ?」とミーシャ。指差す先には魔方陣らしき模様が…魔力が通ってないせいか、唯の白い模様にしか見えない。


「チョーク?」とリン。傍に転がっている白いチョークみたいな短い棒を拾い上げて眺めている。


「うーん…転送魔方陣ぽいけど」とアン。


「ってことは…ラスボスはこの先か?」


ザックの言葉に、「「「それだ!」」」と声がハモり、全員が魔方陣に乗るが…


「どうやってこれ、起動すんの?」


とのアンの疑問に


「「あ…」」


と、ザックとミーシャの声がハモるのだったが…



〈イベント参加パーティ全員が魔方陣に乗って5秒が経過しました〉


〈これより、「暗黒街清掃クエスト」のラスボスステージへと転送開始します〉



という、厳かなシステムメッセージさんの声で魔方陣に魔力が満たされ、と同時に転移するのであった…


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全員入ると転移される「全員集合起動型」だった訳ですね!w(ネトゲのボス転送装置の起動方法でよく採用されていますな!←しかも中断できないタイプw)

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