第12話・宇宙世紀と∀の冤罪

 ブライトさんは逆シャアでアムロと共闘していますが、アクシズ落としの経緯を見る限り、どうやら彼らは地球破壊計画(仮名)の存在までは知らされていなかったようで、気づいていたのか全貌を把握していなかったのかは、まだ私にはわかりません。

 天パは知っていたはずですが、アクシズ落としで核の冬なんて生ぬるい手口を使うシャアを信じかったのかもしれません。νガンダムとサザビーを介したサイコ会話で通じ合った時に「こりゃダメだ」と確信し、ボコッたところで退場。


 おそらく真相はジュドーが木星圏から持ってきたのではと思いますが、それを聞いた旧ホワイトベースのクルー一同(天パを除く)は、宇宙世紀の暗部に海軍戦略研究所(後のサナリィ)を母体とする、それなりに大きな自分たちの派閥を形成したと考えられます(第二次ネオ・ジオン抗争より早かったかもしれませんが考証不足)。

 最終的にはサナリィも解体され、残党がリガ・ミリティアを結成させたりしたようですが、このあたりで暗部の派閥は双方とも勢力を失って行った感があります。ひょっとしたらザンスカール戦争で全滅しているかも。


 しかし前にも書いた通り、連邦の裏シナリオはインフラその他諸々の内部に、コンピュータ・ウイルスのように残り続けています。秘密結社的な組織が存在しなくとも、紛争を続けながら人類の版図を拡散するプログラムは絶賛稼働中だったようです。


「人類を宇宙に進出させる」

「人類の生存圏を拡散させる」

「地球を破壊する」


 これらの裏コマンドを継続させて。詳細は富野監督の裏設定と多少異なるかもしれませんが、おおむねこんな感じだと思います。

 そして二番目の「人類の生存圏を拡散させる」には、最初からゴールとブレーキが設定されていないのです。

 G-SAVIOURは富野監督の特別監修作品なので、U.C.0223で地球連邦は終了って事で信じていいと思いますが、宇宙世紀はその後も続きます。


 ぶっちゃけ宇宙世紀は終わりません!


 U.C.7800年あたりに∀が建造され、その際にスペースノイドは太陽系外へと去ったとされていますが、いきなりコロニーなんて巨大な物体を星系間航行させる技術が開発される訳がありません。

 最終戦争が始まる遥か以前に、異星系へと旅立った者たちがいるんですよ。


 7800年も経っているんだから、その過程で太陽系を飛び出して、ワープ航法すら開発した連中がいたとしても不思議ではないのです。ターンXはそこで生まれたんですよ。そいつらが地球圏でウジウジしていた連中を連れ出して、地球を捨てて行ったのです。


 もちろん∀が地球を破壊したのではありません。宇宙世紀の裏コマンドに従って、スペースノイドか、あるいは彼らを連れ出した連中によって破壊されたのです。

 完全破壊にはいたらなかったようですが、∀はナノマシンを使った地球再生とエネルギー資源の生産、旧式で単純な構造の宇宙船やモビルスーツの製造を行っていたのでしょう。

 なぜなら∀の原型となったターンXは、デビルガンダムことアルティメットガンダムの子孫だから。


 なぜここでデビルガンダムかって言うと、アナザーガンダムは富野監督の中で、太陽系外へと旅立って行った先駆者たちの子孫が新たな地球で戦っている話として扱われているからです。ちゃんと伏線になっているのです。∀はアルティメットガンダムの遺志を隔世遺伝的に発現させ、地球再生プログラムを実行したのです。

 もちろん月で流れたアナザーガンダムの映像は、地球に戻って来た連中が持ち込んだモノでしょう。

 そしてU.C.10000くらいで、地球は宇宙世紀=黒歴史を再始動させるのです。


 一方、宇宙に旅立った連中の一部は、U.C.9500あたりで新たな地球を見つけて、あるいは自ら作ったり地球化するなりして移住し、千年ほど休んでいました。彼らが先駆者の一部なのか、黒歴史の終焉時に地球から去ったスペースノイドの子孫なのかは不明です。

 しかし近所に巨大な恒星間航行エンジンをつけたコロニーや移民船が存在しないところを見ると、希望者を移住させた後、再び遠い宇宙へと旅立って行ったのでしょう。

 だからGのレコンギスタは「U.C.からR.Cへと改暦してから千年後」なのです。


 旅立った人々の宇宙歴は、一万年経ってもまだ終わっていません。

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