第4話

なんとか気を取り直し、母親に事情を説明して場を収めた。家族の混乱は完全に収まったわけではないけれど、今日も平日で、とりあえず各々が仕事なり学校なりに行かなければならない。弟は今日のところはとりあえず様子見、ということになった。


「いってらっしゃい、お兄ちゃん。」

玄関まで俺を見送ってくれた。なんだか和む。

「じゃ、行ってくる。」

美少女に見送ってもらったという気持ちの高まりのせいか、足取り軽く、家を出る。


ドアを閉める直前、弟がこう呟いたのも知らずに。

「毎日行ってらっしゃいを言い続けて、やっと今日返事してくれた…。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る