第4話 ある意味初登校



『はぁ…』

お互い不意にため息が出る。

いよいよ今日から入れ替わった姿で学校に行かなければいけない。

お母さんから祐希の姿だが「桜大丈夫?」と心配されたが、あまり心配をかけさせたくなかったので「大丈夫だよ。なんとかなるよ」と引きつっていたかもしれないが、一応笑顔で応えた。

二階から私の姿だが祐希が降りてきた。

その姿は制服を着ていたが、スカートの丈はとても長くブラウスも第一ボタンまでとめていてとても真面目そうな姿だった。

「えっ!なにこれ!その姿だと私じゃないってバレるじゃない!」

その姿を見て驚いてしまい思わず大きな声が出てしまった。

「だって恥ずかしいんだよ!スカートなんて履いたことねぇし、履いてみたら短くて足がスースーするし、ブラウスだって第一ボタンしないと見えんじゃねぇか!」

今までスカートなんて履いたことないから、しょうがないのかもしれないがバレてしまうのはまずいので色々言われながらも私が直した。

「うわ〜、まじか〜これで外を歩けと…。」

桜から制服を着直され鏡で見てみると結構肌が見え、これで外や学校を歩かなければいけないと思うと恥ずかしさと何かを失った気さえして、穴があったら入りたいとはこういう事をいうのかと改めて実感した。


俺の姿をした桜の制服姿を見るとギョッとした。

Yシャツのボタンは結構空いていて、髪型も桜好みなのかセットされていて驚いた。

「はっ!いやいやそれはだめだろ!さっきの俺の方がまだマシだわっ!Yシャツのボタン開けすぎ、そしてその髪型俺じゃねぇし!」

その言葉に私も仕方なく祐希に着直されることになった。



色々朝からあったがやっと準備が終わり、いよいよ学校へ向かった。

緊張しながら歩き進めているといつの間にか学校へ着いた。

お互い別の教室なので別れなければいけない。

「よし!お互いバレないようになっ!」

そう小声で話お互い別々の教室へ歩き進めた。



〜祐希の身体に入った桜の場合〜

私は2組の教室の前まで着いてしまった。

一度深く息を吸い「大丈夫」と念を唱え教室のドアを開ける。

昨日祐希から教えてもらった席へ向かっている時、クラスメイトから挨拶され緊張したがバレないように自分も挨拶を返した。

普段なら挨拶なんて全く緊張しないのに入れ替わるとこんなに違うんだと思い知った。

自分の席に着くと後ろから隼人の声が聞こえた。

「おう!昨日珍しく桜もお前も休みだったな」

そう隼人の声が聞こえ私は胸がドキドキしたが、今は桜ではなくにならなければいけないので、この気持ちを抑え祐希として応えた。

「えっと、ちょ、ちょっとねお互い風邪ひいちゃって…でももう大丈夫だから元気だから、あはは…」

応えたのはいいが、思ったよりも凄くぎこちなく不自然な話し方になってしまった。

「ん?どうした今日なんか変だぞ?」

隼人も不自然だと気づいたらしく聞いてきたが、そこで動揺してしまうとバレてしまう可能性があると思い、次は自然体を意識して話すようにした。

「あっごめんごめん。もう治ったから大丈夫」

次は少し自然体で話せたので、隼人にバレずにすみそうかと言われた。

そうこうしてるうちに優馬も来て三人になった。

この人が祐希いわく勘がいい優馬という人だろうと思い気を引き締め直した。

「おっはー。そういえば祐希大丈夫か?昨日珍しく休んだからびっくりしたぞ。あっ!そういえば昨日やり始めたゲームめちゃくちゃ面白かった!」

優馬にも大丈夫かと聞かれ、さっき隼人の前で不自然な感じで話してしまったように話してしまうと、勘づかれてしまう恐れがあると思いより自然な感じで話すように心がけた。

「優馬もありがとう。もう元気だから大丈夫だよ」

出来る限り自然に話すように心がけたおかげで一言だったが普通に話すことができた。

『ガラッ』

いつの間にか授業が始まる時間になっていたようで先生が教室に入ってくる。

授業中さっきの出来事を思い出し、たった数分話しただけなのに、こんなに神経を使うんだと思い正直もう疲れてしまった。

はぁ〜祐希大丈夫かな〜上手くやれてるかな?

そう思いながら授業を受けていた。

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