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喉がかわいてふと気付くと、リューキは隣りでこっくりしていた。
静かな音楽に、眠ってしまったらしい。
自分の肩を枕にする黒髪に見とれていると、彼の両親が微苦笑した。
「はしゃいでたな」
「お友達に来てもらえて、嬉しかったのね」
まだまだ子供、と微笑む夫婦は本当に仲睦まじい。
そしていきなり告げられた。
「よし、合格だな。これだけ神力浴びても正気なんだから問題ない」
父親から、セトレアの王の顔に。
「精霊達も、あますことなく彼の魂と混ざれたわ。加護もたくさん。優秀ね」
母親から、神竜の表情に。
「………はい?」
夢が冷める。
聞き間違いだろうか。
神力とか、魂がどうとか、加護とか、聞いたら怖いようなセリフが。
二人の美男美女から感じる威圧感が半端ない。椅子に座っているのに身体が押しつぶされそうだった。
「あの……何かしたんですか……?」
いい笑顔を向けられ、冷や汗をかく。
「自分をサーチできるんだろ? 見た方が早いぞ」
「……」
怖すぎて見たくない。
だが、見ろと言われたも同然だった。
泣く泣く自分をサーチしたレテューは、絶句した。
【レテュー・リークロード (18)
───
───
魔力量:X
全属性:X
加護:全精霊王の加護、英雄王の加護、
古代神竜の加護、光の神子の加護】
「………はあっ!?」
思わず大きな声が出たが、リューキは起きない。
「なっ、なっ……なんすかコレ!」
「加護はあくまで加護だから、あなたが死ねば消えるわ。子孫にはちょっと影響出るかも知れないけど……」
精霊達が何もなかったように踊り出す。
「まあ、簡単にくたばるなって事だ。せっかくできた友人に何かあったら、リューキが悲しむ。下手すると、災害規模で」
「ちょっ……」
夢見心地で聴いていた音楽も、次第に遠ざかっていく。
レテューは頭を抱えたくなった。
片方は動かせないので、片手だけ。
隣りでスヤスヤしてるリューキの、平和な寝息を聴きながら。
「リューキを、よろしく」
英雄王と古代神竜に、にっこりとされてしまったのだった。
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