4

喉がかわいてふと気付くと、リューキは隣りでこっくりしていた。


静かな音楽に、眠ってしまったらしい。


自分の肩を枕にする黒髪に見とれていると、彼の両親が微苦笑した。


「はしゃいでたな」


「お友達に来てもらえて、嬉しかったのね」


まだまだ子供、と微笑む夫婦は本当に仲睦まじい。


そしていきなり告げられた。


「よし、合格だな。これだけ神力浴びても正気なんだから問題ない」


父親から、セトレアの王の顔に。


「精霊達も、あますことなく彼の魂と混ざれたわ。加護もたくさん。優秀ね」


母親から、神竜の表情に。


「………はい?」


夢が冷める。


聞き間違いだろうか。


神力とか、魂がどうとか、加護とか、聞いたら怖いようなセリフが。


二人の美男美女から感じる威圧感が半端ない。椅子に座っているのに身体が押しつぶされそうだった。


「あの……何かしたんですか……?」


いい笑顔を向けられ、冷や汗をかく。


「自分をサーチできるんだろ? 見た方が早いぞ」


「……」


怖すぎて見たくない。


だが、見ろと言われたも同然だった。


泣く泣く自分をサーチしたレテューは、絶句した。





【レテュー・リークロード (18)


───

───

魔力量:X

全属性:X

加護:全精霊王の加護、英雄王の加護、

古代神竜の加護、光の神子の加護】







「………はあっ!?」


思わず大きな声が出たが、リューキは起きない。


「なっ、なっ……なんすかコレ!」


「加護はあくまで加護だから、あなたが死ねば消えるわ。子孫にはちょっと影響出るかも知れないけど……」


精霊達が何もなかったように踊り出す。


「まあ、簡単にくたばるなって事だ。せっかくできた友人に何かあったら、リューキが悲しむ。下手すると、災害規模で」


「ちょっ……」


夢見心地で聴いていた音楽も、次第に遠ざかっていく。


レテューは頭を抱えたくなった。


片方は動かせないので、片手だけ。


隣りでスヤスヤしてるリューキの、平和な寝息を聴きながら。



「リューキを、よろしく」



英雄王と古代神竜に、にっこりとされてしまったのだった。



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