引退試合
開始の合図と同時にあたしは踏み込んだ。両手に走る打ち合いの衝撃。息つく間もない攻防の中、震える空気が
鼓膜を
中学最後の県大会。相手は県下に敵無しと言われる
暑い、クサい、可愛くない、そんな声も無視して竹刀を振り続けてきた。あたしが惚れ込んだこの競技で、
しかし、三年分の気合を込めたあたしの打突は軽やかにいなされ――
寸秒後には
閉会式の後、先生や仲間に励まされ泣き止んだあたしに声を掛けてきたのは、他ならぬ天美さんだった。
「高校、どこ行くの?」
えっ、と戸惑ってから、あたしが志望校を告げると。
「じゃあ、春からはチームメイトだ。一緒に全国行こうね」
その言葉にハッと目を見張る。
頷いて彼女の手を握り返すと、新たな
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