「第1回 #匿名超掌編コンテスト」参加作品

「先生、試しに長ったらしいタイトルで読者を釣ってみたらどうですか。『後宮を追放された私、異国の歌と舞踊で成り上がり ~四千年に一人の歌姫アイドルと今さら握手したがってももう遅い~』とか……」

「作家の魂をな○うのランキング如きに売り渡せと言うのか?」

「そうでもしなきゃ本にならないんだから仕方ないでしょう。キャラも設定もパッとしないんだから、ズルい手でも何でも試さないと」

「書生の身で仮にも師の作品をよくそこまで堂々とディスれるな……」

「ていうか、この雪莉シュエリィちゃん、なんで次から次へと異国の歌を繰り出せるんでしたっけ?」

「芸術の神の加護って書いてあるだろう!」

「パンチに欠けますねえ。やはりここは未来からの転生者だったことにしましょうよ。ライバルの悪役令嬢をスカッと負かして、雪莉シュエリィちゃんは後宮で凱旋ライブしてレズハーレムを築き上げる、とか」

「君なあ、後宮って何か分かってるか? そもそもが皇帝のハーレムなのに女に奪えるわけないだろう」

「そこはまあ適当に革命して簒奪さんだつしちゃえば。成り上がりNTRレズハーレム、これはウケますよ」

「微塵も原型留めてないじゃないか! 大体、あるじが女帝ならハーレムに集められるのは男だろう」

「それだと、よしながふみ先生の『大奥』のパクリじゃないですか」

「これだけ好き勝手やっておいて何でそこだけ気にするの!?」


 令和の文芸界で成り上がるのは、22世紀から来た私にはやはり難しい。

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