いつまでも浸っていたくなる、美しき言葉(ことのは)の世界
独特の気品を纏って孤高を貫くヒロインと、彼女に恋焦がれる数多の男達。互いの領分を弁えて共存する彼らの多角関係をのんびりと眺めながら、美食や季節の風情を楽しみ、ゲスト人物のドラマに思いを馳せる……そんな、長期連載の週刊漫画や連続ドラマにも似た、安心感に満ちた読書体験を与えてくれるのがこの作品だ。
“言葉”を扱う作品の紡ぎ手に相応しく、場面に適した語彙の選択も実に秀逸。精緻と美麗を極めた綺羅星の如き筆致には、作者自身が
現時点で200話超えの大作だが、各エピソードは短く区切りも良いので、一編一編をさらりと読み終えてしまえるのも長所の一つ。外出時の空き時間などに適した、WEB小説ならではの楽しみ方ができる作品といえる(背筋を正して読みなさいと、当主様には叱られてしまうかもしれないが)。
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