転生したら残り25文字だった件
トラックに轢かれたら異世界だった。空の底が白くなっ
と思ったらまた死んでいた。何だ?俺はまた生き返って
「たわけが。この世界で無駄口は無用」女神の声が聞こ
途絶えた筈の意識が再び目覚める。俺の身に一体何が起
「無駄口を叩くなと言うに。生き返らせる身にもなれ」
次の瞬間、俺は六回目の死の淵から生還を果たしていた
途絶えては蘇る意識の中で女神の声を聞く。「そなた、
「いい加減地の文をやめて話を聞かぬか。次はないぞ」
「そなたは転生した。25文字以内で魔王を倒すのだ」
転生?魔王?何のこと「だから無駄に文字数を使うな」
「次に目覚めたらすぐ旅に出よ。チートは既に授けた」
光の中で俺は再び目覚めた。これで十三回目の転生だ。
そう思った次の瞬間にはもう十四回目の転生を果たして
いかん。この女神の言う通り、地の文を綴っている余裕
確か、目覚めたらすぐ旅に出ろと言った。魔王を倒せと
25文字以内でどうやって旅に出て魔王を倒せというん
「早く行かんか。そなたが生き返る度に、外の世界では
「一年が過ぎ、多くの人が魔王に殺されているのだぞ」
マジで!?この一瞬の目覚めのたびに一年!?「たわけ
「この25字を一瞬とするも永劫とするもそなた次第」
この女神、ぴったり25文字で喋るのが上手いなあ、と
呑気に考えてる余裕はなさそうだった。早く旅に出よう
目覚めた瞬間俺は起き上がり、光の神殿を後にして外に
次に目覚めたらまた女神の神殿に居た。えっこれ無理ゲ
ちょっと女神様よ、折角旅に出ても死ぬたび戻されるん
これでどうやって魔王のところまで辿り着けっていうん
「チートがあると言ったろう。転移魔法で何とかせい」
転移魔法?よ、よし、転移魔法!魔王城へ!唱えた瞬間
俺はまた生き返って光の神殿にいた。えっ、どうしろと
転移魔法!魔王城へ!次の瞬間俺は暗雲立ち込める魔界
転移魔法!魔王城へ!暗黒の空の下には魔王の配下らし
転移魔法!魔王城へ!魔王の配下らしき魔物どもが襲っ
女神様お願いします。ここから先に進む方法を教えて下
「律儀に詠唱するたわけがあるか。結果だけ描写せよ」
結果だけ描写?……俺は転移魔法で魔王城へ飛んだ。や
転移。魔王城。魔王配下の魔物どもが襲ってくる。俺は
転移魔王城。魔物襲ってくる。俺は腰に吊るした剣を抜
転移魔王城。魔物来る。俺は剣を抜いて斬りかかった。
おお、凄くね!?40回目の転生にして遂にまともな戦
「無駄口叩かず戦え」女神の声。転移魔王城。攻撃魔法
転移魔王城。広域攻撃魔法。配下の魔物全滅。俺は城の
転移魔王城。広域魔法で配下全滅。城の奥の玉座の間へ
転移魔王城。広域魔法で配下全滅。玉座の間で魔王と対
転移魔王城広域魔法配下全滅玉座の間魔王対面「貴様が
転移玉座の間。「貴様が勇者か。よくぞここまで来た」
転移玉座の間。「貴様が勇者か。よくぞここまで来た」
転移玉座の間。「貴様が勇者か」俺は間髪入れず斬りか
転移玉座の間。「貴様」俺は即座に斬りかかり魔王の首
転移玉座の間。沈黙魔法即斬撃。だが首を落とされても
転移玉座の間沈黙魔法即斬撃「ふはは、首を落とした程
転移玉座の間沈黙魔法分身斬撃首と心臓同時「ふはは、
おい女神!あの魔王を倒せるチートか何かないのかよ?
「魔王には魔法も斬撃も効かぬ。七つの宝珠を集めよ」
最初からそれ教えとけよ!25文字でどうやってそんな
なんかもうダルくなってきたな。一回や二回くらい休ん
休んでゴロゴロしててもいいんじゃないかな。もう疲れ
知らない世界の人が何人魔王に殺されようと知ったこと
「百回迄に魔王を倒さねばそなたの世界も消滅するぞ」
なんで!?「人間一人分の質量崩壊は宇宙消滅に十分」
俺が戻らなかったら元の世界が宇宙ごと消滅するの!?
で、七つの宝珠ってどこに「七大陸に散らばっておる」
ゆーて取り寄せバッグみたいなチート魔法もあるんだろ
これか。取寄魔法七つの宝珠!「複数同時は無理じゃ」
一つ一つ取寄すんの!?25文字以内で!?「頑張れ」
グーグル魔法!ふむ、七つの宝珠には水金火木土天海が
取寄魔法水の宝珠!取寄魔法金の宝珠!いや間に合わね
取寄魔法水金火木土天海各宝珠!よし七つ揃った。後は
取寄水金火木土天海各宝珠転移玉座の間「そ、その宝珠
取寄水金火木土天海各宝珠転移玉座の間沈黙「食らえ!
やったか!?と思った次の瞬間、光の神殿で俺は目覚め
「まだ倒しておらぬ」くそっ、確かに間に合ったと思っ
取寄水金火木土天海各宝珠転移玉座の間沈黙食らえ魔王
今度こそやったか!?だが目を覚ますとまた神殿だった
「魔王を倒した結果まで25字で書き切らねばならぬ」
そんな。攻撃までがやっとだって。珠に字数食いすぎる
取寄水金火木土天海各宝珠転移玉座の間沈黙攻撃魔王撃
くそっあと一文字あれば撃破できたのに!「頭を使え」
取寄水金火木土天海各宝珠転移玉座の間攻撃魔王「ふは
やっぱり沈黙魔法を入れないと魔王の笑い声が邪魔して
取寄水金火木土天海各宝珠転移玉座の間沈黙攻撃奴撃破
今度こそやったか「何を撃破したか書かんのは流石に」
取寄水金火木土天海各宝珠転移玉座の間即攻撃魔王「ふ
くそっ魔王め毎回邪魔を「魔王も死にたくないからな」
考えろ。毎回律儀に七つの宝珠を集めて転移しなくても
むしろ宝珠がある場所に魔王ともども転移すれば……?
いや、宝珠がどこにあるかも知らないし却って文字数も
宝珠本体に代わる力を俺の剣に込めることができれば?
強化魔法七宝珠剣!凄い力を感じる。次の転生で決める
強化七宝珠剣転移玉座の間沈黙斬撃「ふはは我は不死身
くそっ駄目なのか!「宝珠は魔王を封印する触媒じゃ」
「力を剣に宿したとて宝珠本体がなければ封印できぬ」
取寄七宝珠転移玉座の「だからそれは駄目だというに」
何でだよ剣の強化は宝珠の名前書かなくても出来ただろ
「取寄魔法は個体名を逐一指定せねばならんのじゃ」!
閃いた!見てろ魔王、見てろクソ女神、次こそ決める!
取寄水金火木土天海各宝珠と魔王!沈黙攻撃魔王撃破!
やったか!?次に目を覚ました俺は光の中に立っていた
「よくぞ魔王を倒した。最後に望みを一つ叶えてやる」
元の世界に戻る時が来たらしい。俺はクソ女神に告げる
未来の勇者には、せめて俺の百倍の字数をやってくれ!
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