第19話 depression

ふとたいしたきっかけもなく

憂鬱になる時がある


べつにいつも元気とは対極の人間で

活気など起こりようもない生活環境なのではあるが

そういう理屈とはまったく別の次元で

頭に何か重しを乗っけられたような

両の方に巨大なスライムを背負ったような

そんな 非連続的倦怠感を感ずる時があるのだ


そんなときわたしは

唯一の世間と繋がる機会の 夜の独演会も放棄し

思考のつぶやきを記載することも放棄して

ただただ昼夜布団の中に埋没し

時間がたつのをじっと待つ

テレビもラジオも消して

全部の刺激を遮断して

ただこの 鈍い脳の疼きを反芻する


depression

脈絡で説明のつかない

非連続的倦怠の海の中で

いよいよわたしは本格的に無になり

この二本の足を立たせている かすかな探求の心すら

その時期には消えてしまうのだ


わたしはこれを 内因さん呼んでいる

内因さんが来る時期か と


内因さんが来たら 諦めるしかない

そのうち浮かぶ瀬もある

せめてこの 右手が動く程度には

それまで わたしは布団と同化して じっと待つ

待つことには慣れているのだ

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