第20話 希望、らしきもの

幸福の在りようは多様だけど

不幸の在りようはだいたい似ている


不幸なのはまっぴらだけど

幸福もまた怖いもの

上がれば下がる

得れば失う

だからわたしは ささやかな高揚を感ずるときも

前腕のない左腕をさするのだ

浮かれてとまるか

欠落を忘れるなと


失うものなどなかろうと

嘲笑うことなかれ

傲慢にもわたしは

保有していると自負しているものがあるのだ


すなわち好奇心


わたしには知りたいことがある

この世に知らないことが無数にあることが

わたしを途方に暮れさせ

同時に生きる糧になる

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