第6話 結果はだいたい同じ
「おかしいでしょ」
人が居ないせいか彼女の声はよく響いた。
「偶然にしても出来すぎてるよ、まるでマンガやアニメみたいだよ」
彼女の言っていることはよく分かる。これはマンガやアニメでよくある展開だ。
そして、たいていのマンガやアニメの場合は家が隣同士であったっていうのがセオリーだ。
しかし現実はそう上手くいかない。
なぜなら、僕の家の隣には既に人が住んでいるからだ。
そうそのお隣さんとは田中さんと渡辺さんのことである。
「確かに偶然にしてはよく出来すぎてる。でも僕の帰り道はこっちだから」
そう言いながら僕は彼女の前を指さした。
「はぁ、そうならいいよ。私もこっちだから、せっかくなら一緒に帰りましょうか」
彼女はそう提案してきた。
僕は込み上げる嬉しさを隠すために、一瞬だけ慌てたそぶりをして見せてから
「そうだね、そうしようか」
と言った
そうして僕たちは一緒に帰りはじめた。
その後、彼女といくつか会話をしているうちに僕の住んでいる建物が見えてきた。
家まであと少しのところで
「あそこが僕の住んでいるとこだよ」
と指を差した。
彼女はこの結果になることを事前に予想していたのかもしれない。彼女は少しだけ驚いたあと、頭に手を置きやっぱりかと言いたそうな表情をしていた。
「私もあそこに住んでるよ」
そう言いながら僕と同じ建物に向かって指をさしていた。
気がついたら口に出していた
「「やっぱこうなるのか」」
どうやらありがちな展開のようである。
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