第4話 その後

「ところで、波瑠くん、君ずぶ濡れだけど大丈夫?」


 ふと自分の格好を見ると、雨と泥のせいでずいぶん汚れている。


「たしかに、けど家近いから大丈夫だよ」


「そっか。ならいいけど。」


 そこで、僕は気づいた。

 雨の中で見た彼女はどこか冷たい感じがしていた。だが、今の彼女はその妙な雰囲気が消えている。そんなことを考えいると…


「波瑠くんは見たところ大学生かな?」


「うん、すぐそこの大学に通ってる。いとさんは?」


 そのことを尋ねた瞬間、彼女の目が少し暗くなった気がした。また、どこか羨ましそうな雰囲気を醸し出していた。


「私も大学生だよ、ただ今は休学してる」


 彼女はそう言うと、笑っていた。


 「そうなんだ」

なぜ?と理由を聞こうかと思ったが、先程の彼女の表情が頭に浮かんだのでやめた。

 また、僕には彼女の笑顔が偽りのものであるかのように感じた。



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