第3話 直感
「ありがとう。君のおかけで助かったよ」
僕がお礼を言ったら、彼女は軽く頷いた。もう一度お礼を言おうとしたが 雨のせいか、彼女の顔をしっかりと見ることができない。だか彼女の醸し出す雰囲気はどこか落ち着いている。
また、どこか淋しそうで冷たい感じがする。
一方、彼女は何もなかったように、今にも歩き出そうとしていた。
僕は慌てて彼女を呼び止めた。
「待って!いきなり名前を聞くのは失礼かもしれない。けど君さえよければ名前を教えてくれないか」
僕の鼓動がしだいに大きくなる。それは雨の音とさえかき消すほどだ。
沈黙の時間がながれる。それは一瞬だったかもしれない。
僕は彼女のことを見つめている。鼓動のせいで緊張感が増してくる。
彼女はどこか困ったような仕草をしたあと、しぶしぶと
「そうだな、私は いと って呼んでくれ」
「僕は 月島 波瑠」
気づけば雨が止んでおり、さっきまでの緊張感はどこかへ消えてしまっていた。
そこで、僕はやっと彼女の顔をしっかり見ることができた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます