第2話 出会い

その日、僕はいつもと変わらない日常を過ごすつもりであった。いつものように学校に通い、バイトをする、学生として普通な日々である。


 ただ、いつもと少し変わったとしていたら、傘を家に忘れてしまいことくらいだ。


 コンビニで傘を買おうにも完売している。なので、僕は走って家に帰ることにした。


 バスに乗ることも考えたが、待ち時間が嫌いだ。

 また、学校から家までの距離はたいしたものでもない。なら走ったほうがマシである。


 そうして、僕は家に向かって走りだした。

 この時の選択が今後の僕に大きな影響を与えるとも知らずに、


 それにしても、雨の中走るのは大変だ。満足に目を開けることもできないので、周りがよく見えない。それゆえ、前ばかりに注意を向けていた。


 家まで残り僅かになり、気を抜いていたのかもしれない。歩道橋を渡り終えようとしていた時にそれは起こった。


 僕は、前ばかりに注意を向けていたことにより、躓いてしまったのだ。反射的に転ぶことを避けようとする。しかし、その行為と場所が悪かった。そう、今いるのは歩道橋だ。


 なす術もなく転げ落ちようとしていた僕は慌てていた。しかし、何もすることができない。覚悟を決めようとしていた時に、それは聞こえた。


「危ないところだった」


 声のした方に目を向けると、1人の女の子が僕の腕を掴んでいた。


「大丈夫か?こんなことで命を無駄にするなよ」




それは偶然か、必然か。はたまた「運命」なのか。


この時の出会いが、今後の人生に大きな影響を与えることを、僕はまだ知らない。


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