ゲームセット…2

「…天太?」


俺の顔色に母さんが不安そうに名前を呼ぶ。

でも今は母さんのことは考えられない。だって俺は監督の期待を裏切ってしまったから。


「…負けた。小越高校が…、負けた…?」


鈍器で頭を殴られたような衝撃に俺はただただ唖然とすることしか出来なかった。

理解したくないのに、理解しなければならない現実が俺に襲い掛かる。

そんな中、更なる絶望が俺を襲う。


「今の状況で告げるのはあまりにも酷だと思いますが、お母様もよく聞いてください。」


神妙な声で話し始めるドクターに視線を上げる。


「渡会くんの脚の怪我が完治したとして以前と同じように走ることは難しいでしょう。リハビリさえ頑張れは歩くことは可能になります。普段通りの日常を過ごすことができますよ」


え?

俺、走れなくなるの?


「じゃあ…、先生、天太がサッカーを続けることは…?」

「…難しいですね。詳しい話は別室にて説明させていただきます。お母様はこちらへ」


・・・え、ちょっと待ってくれよ。

おい。冗談だよな?

サッカーが出来なくなるなんて、そんな…。そんな…!嘘だろ!?

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