第五夜『色男と三人の女の噺』

「おや……もう何も言わないでおきます」


「今宵は第五夜」


『色男と三人の女の噺』


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 昔々あるところに それはそれは美しい男がいました。彼は画家を生業としており、数多の芸術家がいるその都でも指折りの画家でした。しかし、彼は非常に女癖が悪く、同時に十数人と関係を持つこともしばしばありました。さらにはお金を持っている女を捕まえて楽をして暮らしたいという夢を語ることも日常茶飯事でした。

 ある日のこと。そんな男は一人の女性と出会います。


「ごきげんよう。色男さん」


それは美しい青い瞳の女性です。男は恋に落ちました。なぜなら彼女が王族と縁を結びかけた事があるほどの名家の出身であるからです。二人は惹かれ合いました。結婚のお許しも出ました。これで彼の夢が叶います。しかし、問題がありました。


「すみません色男さん。私は心臓が悪い虫がついているそうなのです」


 彼女は心臓に病気があるそうです。このままでは長く生きられません。結婚について、もう少し二人は考えることにしました。

 またある日、男は一人の女性と出会います。


「あれ?君はもしかして画家をやっていますか?」


それは美しいブロンズの髪を持つ女性です。男は恋に落ちました。なぜなら彼女が大きな土地を持ち、複数の店を経営しているからです。二人は惹かれ合いました。結婚のお許しも出ました。彼の夢は彼女でも叶います。しかし、問題がありました。


「私は昔から咳がよくでてね。息をするの苦しいんだよ」


 彼女は肺に病気があるそうです このままでは長く生きられません。結婚について、もう少し二人は考えることにしました。

 色々なことを考えているある日に男は一人の女性と出会います。


「あー……お前はあれか。画家のやつだろ。知ってる」


それは美しい小麦色の肌をした女性です。男は恋に落ちました。なぜなら彼女が都から信頼をおかれた待遇のよい女戦士だからです。二人は惹かれ合いました。結婚のお許しも出ました。彼はきっと生活に不自由はないでしょう。しかし、問題がありました。


「痛い……心配するな。大方は酒の飲みすぎだろう。そのうち治るさ」


 彼女は肝臓に病気がありました。このままでは長く生きられません。結婚についてもう少し二人で考えることにしました。

 そんな画家の男は彼女たちを愛するために医者をさがしました。そして、女と金が大好きなので誰も見捨てることはしませんでした。心臓も肺も肝臓も愛した女たちに与えました。男はたくさんのお礼をされました。感謝もされました。大好きだったお金を使うことは一切できませんが、彼は愛する女たち三人のなかで生きることができて美しい人生を過ごしました。

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「お噺はここまで」

「救いはあったのでしょうか?私にはわかりません」

「またいつでも語ります。紡ぎます。」


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