第48話 魔王4

 地球に降下させた降下機を使用して、地球人の責任者と話を始めることになった。


「私がここの責任者だが、お前は誰だ?」

「俺は、上に見えるアトランティス大陸の魔王アトラスだ」


「これは、上の大陸と通信をしているということでいいのか?」

「そうだが・・・。随分と驚いているようだが、もしかすると、そちらには通話の技術がないのか?」


「いや、そんなことはない。驚いているのは言葉が通じているからだ」

「言葉が通じるのは、翻訳魔法のおかげだな」


「翻訳魔法?魔法なのか?」

「そうだ。地球では魔法が使われていないのだったか___」


「その通りだ。それで、お前たちはどこから来たんだ?目的はなんだ?」

「正確には俺たちがここに来たんじゃない。お前たちが、地球ごと、俺たちに世界に召喚されたんだ」


「ここは異世界なのか?」

「お前たちが元いた世界から見ればそうだ」


「なぜ召喚された?」

「召喚したのは俺たちじゃない。地球の反対側にあるレムリア大陸の奴だ。目的は、俺を倒すために勇者を召喚したかったのだろう」


「勇者を招くために、地球ごと召喚したのか?馬鹿げている」

「確かに馬鹿げているがな。それでも、俺としては、勇者が脅威となるなら、それは、取り除かなければならない」


「我々と戦うというのか?」

「勇者が脅威となるならだ!勇者がこちらにつくなら、戦う気はないし、友好関係が築けるだろう」


「それは、レムリア大陸といったか?そこと、我々が対立することになるのではないか?」

「それはそうなるな」


「問題は、勇者だけなのか?」

「現時点ではそうだが、根本はこちらとレムリアの争いだ、それが解決しなければ、今後どうなるかは分からん」


「こちらは巻き込まれただけだ。中立を宣言したいのだが」

「それなら、勇者のことを含めて、レムリアに一切協力しないことだな」


「仮に、そちらに勇者のことを含め協力すれば、見返りは期待できるのか?」

「それは、当然、それ相応の見返りを用意しよう」


「外交に関しては、私の一存では何も決められない。権限を持った者と交渉してもらうことになるが、それで構わないか?」

「それは構わないが、こちらから、そちらに、人を送って、ゲートの扉を設置したいが、それは構わないか?」


「ゲートの扉とはなんだ?」

「こちらと、そちらを繋いで、転移するための装置だな」


「転移?!そんな物があるのか___。それも含めて、権限を持った者と交渉してもらいたい」

「わかった。暫く待つとしよう。だが、早めに頼む。レムリアの連中が勇者を勧誘する前に」


「わかった、出来るだけ早く交渉できるように準備しよう」

「では、準備ができ次第、そこの機械に話しかけてくれ」


 いきなり争いにならなかったから、ファーストコンタクトとしては上手くいっただろう。

 後は、いかに交渉してこちらの味方につけるかだな。


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