第47話 魔王3

 星というのは本当に球なのだな。

 しかも、上下がないとは、本当に不思議なものだ。


 だがそのお陰で、レムリア大陸と反対側につけても、地球の都市を間近に見ることができる。


 とはいえ、これ以上接近できぬとは困ったものだな。


 地球に行こうと、飛行船を出してみたが、結界に阻まれ、断念するしかなかった。


 ゲートを用意するにしても、地球側をどうやって設置するかが問題である。

 アルフのように、どこにでも転移できる魔法が使える者がいればいいのだが、そんな者はいやしない。


 現在は、結界を突破する方法を模索中だ。


 なんとか、地球に早く降りて、勇者を始末しなければいけない。

 いや、レムリアの連中がまだ接触していないなら、こちらに引き入れて仕舞う方が得策か___。

 兎に角、勇者を早く探さねばなるまい。


「魔王様、大変です。地球から何か飛んできます」

「なに!攻撃か?」


「わかりませんが、このまま進めば、こちらに当たることはありません。威嚇か、偵察かと思われます」

「途中で進路を変えるかもしれん。監視を怠るな」


「かしこまりました」

「いや!待て、もし可能であれば、それを捕まえろ」


「破壊でなく、捕まえるのですか?」

「可能であればで構わん。あの真空結界を突破するヒントになるやもしれん」


「畏まりました。全力を持って、捕獲します」

「危険を冒すな。可能ならばで構わんと言っていいる」


 幸い、地球からの飛翔体は、進路を変えることがなかったため、スクランブル発進した飛行船により、結界を張り、捕獲に成功した。


 飛翔体の正体は、偵察機だったようだ。

 すぐに研究所によって、解析が行われる。


 それによって、どの程度の強度を持たせれば結界を突破できるか導き出す。


 そして、作り上げた降下機に偵察用の機材を乗せ、地球に降ろす。

 目標は、こちらに飛翔体の打ち上げて来た所だ。


 降下機はうまく動作し、ゆっくりと地球に降りて行き、見事に着陸した。

 これなら、次は、人を降ろしても大丈夫だろう。

 その者に、ゲートを設置させれば、後は、行き来が自由にできる。


 俺は、次の降下機の準備を急がせる。


 一方で、地球に降りた、偵察機材から送られてくるデータに目を通す。


 地球では、舞い降りた、降下機を遠巻きに取り囲んで警戒しているようだ。

 少し話しかけてみよう。


 偵察機材には、周りの様子を探る他に、こちらの音声を伝える機能も備えている。


「あー。責任者はいるか?少し話がしたい」


「おい!しゃべったぞ!」

「しかも、英語だぞ?!」

「機械生命体か?」

「責任者だってよ。誰か呼んで来い!」


 降下機を取り囲んでいた連中は、てんやわんやである。


 それでも、暫く待っていると責任者がやってきて、落ち着きを取り戻したようだ。



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