第46話 調査隊3

「さあ、入りますよ」

「・・・お、おう」


 薄暗い店の中は、見たことのない道具や、服が並べられていた。

 装飾品のような物もあるが、高級そうではない。

 ここは何の店だろう?


 サガト殿下はそれらを楽しそうに眺めていた。

 ホボスは、顔を赤らめて硬直していた。どうしたのだ?


 私が怪しんでいるうちに、ククリは店の奥で店主と交渉を始めていた。

 何やら時々こちらを指差しているが、何事だろうか?

 しばらくすると、交渉が成立したのだろうか?ククリに手招きされた。


「話し合いはうまくいったか?」

「まあね。取り敢えず交渉は成立したわ」


 ククリは、嬉しそうに笑っている。余程、交渉が上手くいったのだろう。


「それじゃあ、レイアは、そこに立ってくれる」

「ここにか?」


 ククリは、私に、店の商品の前に立と言ってきた。何をする気なのだろう?


「それでは写真を撮るわよ。動かないでね」

「な!なぜ写真を?」


「いいから、いいから」


 パシャ!


「はい、撮れた。さて、上手く写ってるかな?」


 そのカメラは、撮ったその場で写真がプリントされて出てきた。

 地球には、魔法がないと聞かされていたが、こんな進んだ魔道具があるではないか。


「うん。上手く撮れてる。それじゃあ、今度は、これに着替えてね」

「これは、この店で売っている服か?こんなものをこちらの者は着るのか?」


「着替えたら写真を撮るわよ」

「これで、写真を撮るのか?」


「任務の内よ。数があるのだから、さっさと着替えて」


 ククリに急かされるまま、地球の服を次々に着せ替えさせられた。

 その度に、写真を撮られて、これのどこが任務なのだろう?


「はい、ご苦労様。それで終わりよ」

「やっと終わりか___」


「その服はサービスにもらえるって」

「そうか、それはありがたい」


 白い半袖に、脚がむき出しの紺色のパンツのような出で立ちだが、ビキニアーマーに比べれば、だいぶ露出が少ない。

 素材も柔らかく、体を動かすには適しているだろう。


「次回、着てくれば高額で買い取るってさ」

「次回もあるのか?!」


「お金はたくさん必要でしょ?」

「ちょっと待て!今のでお金になったのか?」


 それに、着ていた服を買い取ると言っている。ここは古着屋だったのか?


「うん、まあー、その辺は、深く考えないようにしようか」

「凄く、気になるのだが・・・」


「気にしない、気にしない」

「済んだのか?」


「ハイ!終わりました」

「では、戻るぞ」


 疑問が解決する前に、サガト殿下に声をかけられて、王宮に帰ることになった。

 どうやったかはよくわからないが、ある程度まとまったお金を手に入れることはできたようで、任務は成功だったようだ。


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