第45話 調査隊2

 ゲートの向こう側は、家の庭だった。

 これが不由美様の家なのだろうが、私たちの家とは異なり、いかにも異国情緒が溢れている。


「ククリ、それで、まずはどこに向かうのだ?」

「まずは、商店街を目指します。地図によると、あっちのようですね」


 サガト殿下が問いかけると、ククリは返事も早々、地図を見ながら歩き出してしまった。

 私たちも慌てて後を追う。


 三十分位歩いて、やっと住宅街から商店街と思しき場所に出た。

 途中に、コンビニと呼ばれる商店などがいくつかあったが、ククリの目的はそこではなかったらしい。

 できれば中を見てみたかったが、そのまま、素通りしてしまった。


 二十四時間営業している、牛丼と書かれた店もあったが、そこもスルーだ。


「レイアはもう、お腹が空いたのですか?」

「いや、そんなことはないが___」


 そんなことはないが、非常に気になる。


「なら、恨めしそうに見てないでください。目立ちますよ」


 そう言われると、すれ違う人たちが、私たちのことをチラチラ見ている。

 それほど目立つ行為だっただろうか?

 確かに、物珍しくてキョロキョロしていたかもしれない。


「それに、現地通貨を手に入れないことには、どのみち食べられませんよ」

「べ、別に、食べたくて見ていたわけではないのだぞ。二十四時間営業というのが気になっただけだ」


「ハイ、ハイ、そうですか。護衛だということを忘れないでくださいね」

「忘れてなどいない!」


 出発前に考えていたのと、逆の立場になってしまった。もっと、気を引き締めないと___。


 だが、その後も、その通りは食堂が続いていて、どうしても、気になって、キョロキョロしてしまった。

 私も、まだまだ、訓練が足りないようだ。


「ここは右ですね」


 そう言うとククリは、食堂が続いていた通りとは別の通りに入っていく。

 そして、少し入ったところで、ククリは止まった。


「ここです!」


 ククリが指差したのは、宝石、貴金属買取と書かれた店だった。


 ここで宝石を換金するわけか。

 どうやら、王宮からかなりの宝石を持ってきているらしい。

 これなら、かなりの通貨を手に入れることができるだろう。


 と、思ったのだが、結果は失敗だった。


「身分証が無いと買い取ってもらえないとは・・・」


 ククリとしても予想外だったらしい。

 予め、不由美様から様子を聞き取っていたようだが、そこまでの話は出なかったのだろう。


「仕方がありません。次に行きますよ」

「まだ、当てがあるのか?」


「はい。今度はレイアにも活躍してもらいますよ」


 私が活躍ということは、闇市でもあるだろうか?

 襲われないように、護衛としてしっかり活躍しろということだろう。

 思った通り、ククリは薄暗い感じの路地に入っていく。


「ここです」


 ククリが指差したのは、いかにも胡散臭そうな店だった。


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