第39話 ファミレス

 私とアルフとライラ様に、プラネタリウムで会ったクラスメイトのヒジリ君を加えて、四人でファミレスに入った。


 当然のように四人がけのテーブルに通される。


 そして、アルフとライラ様が並んで座り、私はヒジリ君と並んで座ることになる。

 私も、アルフの隣が良かったのに___。


 別に、隣に座って、何がしたいというわけではないのよ。

 だって、ほら、ヒジリ君と並んで座っているところを友達に見られたら、在らぬ噂を立てられかねないでしょ。


 そういえば、今日は学校が休みなのだろうか?


「ヒジリ君、今日、学校は休みなの?」

「え!学校!学校は・・・」


「サボりなの?」

「まあ、そんな感じ___」


「ヒジリ君は真面目で、学校をサボるようなことはしないと思ってたよ」


 実際に、今までサボっているところは見たことがないし、良い意味でも、悪い意味でも、目立つ方ではなく、普通に授業を受けていた印象だ。


「いや、サボったのは今回が初めてだし___」

「学校で何かあったの?」


「学校は至って普通かなぁ?皆んな受験勉強に勤しんでいるよ」

「受験勉強・・・。嫌なこと思い出させないでよ___。でもそれなら何でサボったのよ?」


「だって、星が見えなくなってしまったんだよ?もう、星空を見られないのかと思ったら、落ち着いて授業なんか受けていられないよ!」

「それでプラネタリウムを見に来てたんだ」


 成る程、アルフの言った通り、ヒジリ君は私と同類。星見人(ホシミスト)で間違いないわ。


 私が、ヒジリ君と話している最中、アルフとライラ様はファミレスのメニューに夢中だった。


 アルフ、あんた、ヒジリ君が星見人(ホシミスト)だから、ここに連れて来たんじゃないの?

 それなら、ファミレスのメニューより、大事なことがあるでしょう。


 イラッとして、睨んだが、全然気付きもしない。

 これは、メニューが決まるまでは話が先に進みそうもない。


 諦めて、私も何を注文するか決めることにした。


 私は、和栗のモンブランとドリンクバーのセット。

 ヒジリ君は、チーズケーキと同じくドリンクバー。

 アルフは、小エビのドリアをセットで。

 そして、ライラ様は、パンケーキと散々悩んだ末、チョコレートパフェのセットにした。


「ヒジリ君は、なぜ、星がなくなったのだと思う?」


 やっと、アルフが話を切り出す。


「星がなくなった理由ですか?難しいですね。見えなくなった理由として考えていたのは、地球全体が、何か光を通さない物で覆われてしまった、ということだったのですが。アルフさんは、星が見えなくなった、でなく、なくなった、と考えているのですよね。何か根拠があるのですか?」


「根拠か___。それが、事実だとしかいえないね」

「星がなくなったのが事実なのですか?」


「正確には、星が無い異世界に、地球が召喚されたんだけどね」

「また、突拍子のない仮説ですね」


 ヒジリ君はアルフの話を事実だと思っていないようだ。まあ、当然そうだよね。


「ヒジリ君、残念ながら、仮説じゃないの」

「井戸川さんもその話を信じているの?」


 ヒジリ君が私の方を見て尋ねてきた。


「とても信じられないだろうけど、二人は、あの浮遊大陸から来たの」

「つまり、二人は宇宙人___。ではなく、異世界人ということか?」


「そうよ。とはいえ、話だけでは、とても信じられないわよね」

「そうだね。浮遊大陸から来たというなら、その時乗って来た乗り物を見せてもらいたいものだね」


「魔法で、転移して来たから、乗り物はないの。あ、うちの庭に、ゲートの扉はあるけど」

「魔法がある世界なのか___」


 私の話に、ヒジリ君が呆れた声をあげていた。


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