第34話 国王2

 地球が召喚された翌朝、サガトの報告を元に、調査団を編成していると、見張りの兵士から報告が上がった。


「国王陛下、大変です。新たに星が現れました!」

「また、アルフが召喚したのか?」


「それは分かりませんが、大陸の地平線より下、死角になる場所に光る星が確認されました」

「光る星だと!それは太陽なのか?」


「太陽かどうかは、わかりません。ただ、自ら光っているようですが、燃えてはいないようです」

「ふむ。___とりあえず、調査のための飛行船を出せ」


「了解しました」

「念のため、あまり近付き過ぎないよう注意させよ」


 アルフは一体何をしたんだ?それとも別件だろうか___。


 見張りの兵士が出ていくと、また別の兵士がやって来た。


「国王陛下、大変です!」

「新しい星のことなら報告を受けたぞ?」


「それとは別です。アトランティスがこちらに向けて移動を開始しました」

「なんだと、よりにもよって、こんな時期に・・・。いや、こんな時期だからこそか___」


 当然、向こうも、こちらの側に星が現れた事は知っているだろう。

 何が目的かわからんが、静観する気はないようだ。

 そうなると、他の大陸の動きも注意せねばなるまい。


「アトランティスが到着するまでに何日くらいかかりそうだ?」

「概ね五日かと」


「そうか、とりあえず、今は監視を続けよ。それと、他の大陸の動きのも注意を怠るでない」

「畏まりました」


 アトランティスへの対応を考え、地球と新たな星への調査隊を送り出した頃には、昼近くになっていた。


 そこに、新たな問題が湧き起こる。


 アキコが寝たまま、目を覚さないということだ。


 すぐに医師を派遣し、診察させたところによると、極度の魔力欠乏症で、十日は目を覚さないだろうとのことだった。


 どんな魔法を使えばそんな状態になる?

 第一、アキコは魔法が使えたのか?


 異世界人特有の症状の可能性もあるので、アキコの家族も診察したが、そちらは、何も異常がなかった。


 症状を家族に説明したところ、アキコの父親のナツオが、地球の病院に診せると譲らなかった。

 地球の病院に診せたところで、変わらないと思ったが、ナツオの気持ちもわからないでもない。


 ライラを連絡役としてつけることで、地球に戻ってもらうことにした。

 もちろん、まだ、こちらのことを他に伝えないで欲しいと頼み、家族に監視を付けた。

 だが、どこまで情報を隠し通せるかわからない。

 地球の調査を急がせねばなるまい。


 だが、新しい星が現れたことと、アキコが魔力欠乏で目を覚まさないことは無関係だろうか?

 タイミング的にはとても怪しい。

 だが、本人が目覚めぬ限り確かめようがない。


 地球のこと、新しい星のこと、アトランティスのこと、アキコのこと、考えなければならない事は増える一方である。


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