第33話 創造

 アルフ曰く、月の光魔石は私の物だということである。

 天体望遠鏡どころの話でなくなった。


「だって、アキコが作ったんだろ?」

「そうなのかな?でも、私が作ったって認められてないよね」


「それもそうだな。それじゃあ、大々的に発表するかい?大金持ちになれるぞ」

「私が創ったと証明する方法はあるの?さっき自分で考えたけど証明できそうにないわ」


「簡単だよ。他の星も創って見せればいい」

「また寝込むことになるじゃない。それに、私が作ったのだと知られると、なにか、命を狙われそうだから嫌だ」


「そう思って、このことは秘密にしてあるから、アキコも記憶が無いふりを続けてくれよ」

「なる程、それで、記憶が無いふりをしろと言ったわけね___」


「それに、その力を知られれば、もっと力を使えと責められるぞ」

「金のなる木だからねぇー。でも、その度に寝込むのは勘弁してもらいたいんだけど」


「そういえば、星以外も創造できるのか?」

「どうだろう?小さい物なら寝込むこともないと思うから、やってみるね」


「大丈夫か?」

「アルフが見ていてくれれば大丈夫でしょう」


「無理するなよ」

「それじゃあ、やるね。まずは、リンゴを出してみるね」


 私はリンゴをイメージする。リンゴでろ、リンゴでろ!

 だが、リンゴが現れることはなかった。


「無理みたいね」

「簡単に何でも創れる能力でなくて、ある意味よかったよ。それこそ、命を狙われるところだ」


「それじゃあ次は星ね。小さい物というと、流星かしら?」


 逆に細かすぎてわからないか?一センチ位の小石を思い浮かべればいいかな。

 私は、流星の元となる宇宙に浮かぶ塵、しかも少し大きめ、を思い浮かべる。


 すると目の前に小石が現れ、それから、足元に燃えながら落ちた。

 あ、これ、燃えているのでなくプラズマだっけ?


 そんなことより、成功だ___。成功してしまった!

 私は、星を創造できるようになってしまった!


 これまで、月を創造したと言われても、心のどこかで、そんな馬鹿な。あり得ない。と思っていた。

 それが、今、完全に私が創ったことが証明された。


「これは、まさしく神の所業。私は神になった!ハハハハハ!!」


 私はアルフがいるのも忘れて高笑いをあげた。

 だが、十日間寝たきりだった身には、このテンションはキツい。

 少し落ち着こう。


「フー。疲れた」


「アキコ、大丈夫か?」

「アルフ、大丈夫。少し興奮し過ぎただけ。しかし、この能力、どうするべきかしら?」


「しばらくは隠しておくしかないね」

「でも、思いついたんだけど、星見人(ホシミスト)って、私だけじゃないわよね」


「地球でも珍しいと言っていなかったか?」

「言ったわ。だけど、珍しいといっても地球全体なら、かなりの人数がいるはずよ」


「そいつらが、能力が使えるか確かめる必要があるな___。アキコ、他の星見人(ホシミスト)に心当たりはないか?」

「あいにく、私の高校には天文部はなかったし、そういった集まりにも参加していなかったの」


「そうか。そうなると、街で一人一人、鑑定していくしかないか___」

「星見人(ホシミスト)が集まりそうな所なら心当たりがあるわ」


「それじゃあ、明日の昼間、そこに行ってみよう」

「私、病院から出られないんだけど!」


「また、転移で抜け出せばいいさ」

「それもそうね」


 さあ、明日は街でアルフとデートね!あれ、違うかな?そんなことないわよね?!


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