第28話 星見人
アルフに、星が見られなくなったことを、言いたい放題文句言ってやったら、少しスッキリした。
「アキコは随分と星にこだわるな?そういえば、魔王が君のことを切り札だと言っていたが、なんのことだい?」
「私に聞かれてもわかりませんがな!」
私も疑問に思っていたのだ。こっちが聞きたいよ。
「ちょっとアキコのこと鑑定してみてもいいかな?」
「鑑定?何かいやらしいことしようとしてるんじゃないでしょうね。胸を揉もうとか?まあ、アルフなら少しだけなら許してあげてもいいけど、責任とってよね!」
「なに言ってるんだい?別に触らないよ。見るだけだから!」
「そう。やっぱり覗きが趣味なのね。それで、どこまで脱げばいいの?全部脱げとかいわないわよね!」
「別に脱がなくてもいいから!そのままで」
「ああ___、着たまま視姦されてしまうのね?!」
星が見られなくなったことを、怒りのままに、文句を言ったばかりなので、なんだか異常にテンションが高い。
「もう。めんどくさいな。すぐ済むからね」
アルフに見つめられると、背中がゾクゾクする。
「はい、終了」
「ああ、私汚されてしまったのね___」
「汚してないから。それで、鑑定結果だけど。星見人ってなに?」
「それは、星空をこよなく愛する人のことだけど?」
「アキコの称号が、星見人になってるんだけど?」
「うん、まあ、妥当ね!」
当然である。私ほど星空を愛した者はいない。うちの近所で!
「ただの女子高生じゃあなかったの?」
「ただの女子高生だよ?」
「キテレツな___」
キテレツ、入りました。ケッタイ、面妖ときて、次にキテレツが来ました。
「私のどこがキテレツなのよ?!」
「ただの女子高生に称号なんてつかないよ。それも、星見人なんて、聞いたこともない」
「そりゃあ、星がない世界のアルフは聞いたことがないでしょう。地球でも余り知られてないかもしれないけど・・・」
「地球でも珍しい称号なのか?」
「そうね。余り、一般的ではないかも___。その道の人には有名だけど」
「そうか。それで、その称号でなにができる?」
「そうね?星を見て愛でること?」
「星を見るだけなのか?星を創造したりはできないのか?」
「星を想像?それくらいは、結構頻繁にしてるけど?」
「そうか星を創造できるのか・・・。それも頻繁に。確かに切り札だな___」
よくわからないのだけど?星を想像するぐらい誰でも簡単にできると思うのだが___。
そうか、星を見たことない人には、想像も無理なのか!
「試しに一つ創造してみてくれ」
「想像ね。いいわよ。じゃあ、月を想像するわね」
最後に見ていたのが月ですからね。簡単簡単。
でも、これ、何か意味があるのかしら?
アルフが私のことを凝視しているから、なんだかドキドキするわ。
さっさと済ませてしまおう。
「はい、想像したわよ」
「それで、月はどこにできたんだ?!」
「できた?想像しただけで、できるわけないでしょ?」
「創造とは新しく作る出すことではないのか?」
「それはソウゾウは、ソウゾウでも、ソウゾウ違いよ。私が言ったのは、頭の中に思い描く想像よ」
「ソウゾウ違い・・・。そうなのか___。残念」
アルフは肩の力を落として、ガックリしてしまった。
私は悪くないのに、なんだか申し訳ない気分になってしまった。
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