第19話 再会
アルフの隠れ家の監視用モニターに、お父さんたちが、王子に連れられて扉から出てくる様子が映し出されていた。
ということは、家に帰ってきたところを連れてこられたのだろう。
予定では二泊三日だったから、予定を切り上げて帰ってきたことになる。
私のことを心配して、早く帰ってきてくれたのだろうか?
まあ、この状況では、宿が休館してしまった可能性もあるが・・・。
それよりも、これからどうするかだ。
私が、いないことが分かれば家族が心配することになる。
どうしたものか考えていると、王宮の他の場所を映し出しているモニターでは何か揉めているようだ。
「これは、アキコがいないことに今気づいたみたいだな」
「今まで、王宮では誰も気づいてなかったってこと?」
アルフがここで監視していたから、私が攫われたことに気づいて助けてくれたけど、そうでなければ、まだ攫われたままだったわけか___。
王宮の警備は杜撰すぎないか?
「家族をこちらに連れてくることはできない?」
「できなくはないけど、それをやると、王宮から人を攫ったかことになっちゃうから、僕が、国王陛下と揉めちゃうよね」
「私をここに連れてきた時点で揉めると思うけど?」
「アキコの場合、王宮からではないし、本人の意思だからね。問題ないよ」
「なら、私をあそこに連れて行って」
「構わないけど、また、理由をつけて帰してもらえないと思うよ」
「それでも、家族を心配させるよりはいいわ」
「そう、なら、捕まって」
「ちょっと待って!私が攫われていたことは家族には話さないで」
「どうしてだい?」
「無駄に、心配させたくないの」
「アキコがそうしたいなら、話さないよ。ライラにもそう伝えておくよ」
「ありがとう」
「それじゃあ行くよ」
私は、ここへ来る時より力を込めて、アルフの腕にしがみつく。
そんな私に、アルフは、心配そうな眼差しを向けてくれるのだった。
アルフと一緒に王宮に転移すると、家族は私が突然現れたことに驚いた後、無事を喜んでくれた。
アルフは、私が戻ったことを聞きつけて、やって来たライラ様に事情を説明しているようだ。
ライラ様が、事情を聞いて、アルフに必要以上にお礼を言っている。もう、アルフにべったりだ。
何でアルフの手を取る必要があるのよ!
ずっとそちらを見ていたので、ライラ様がこちらに気づいたようだ。
アルフを連れてこちらにやって来る。
「この度は、アルフ様のおかげでことなきを得たとはいえ、王宮勤めのメイドから裏切り者を出すなど、こちらの不手際により、アキコ様を危険な目に合わせてしまい申し訳ございませんでした」
ライラ様は、家族に聞こえないように私に耳打ちすると、その後、深々と頭を下げた。
「ライラ様、頭を上げてください。無事だったんですから、気にしないでください」
私も小声で、ライラ様に謝罪は不要だと伝える。
「亜希子、どうかしたのか?」
お父さんが、不審に思って声をかけてきた。
「お父さん、こちらがお世話になった、ライラ様とアルフよ」
「「アルフ?」」
なぜか、ライラ様とお父さんの声が被った。
「えー。大賢者のアルフレットです。アキコのはアルフと呼ばれています」
「亜希子の父親の井戸川那津男だ。亜希子とはどういった関係だ!」
「関係ですか?そうですね。アキコがここにいるのは、僕にも原因がありまして・・・」
「亜希子がここにいる原因とはなんだ!」
「そもそも、僕が異世界から勇者を召喚するように言われて・・・」
「異世界?勇者召喚?君は何を言っているんだ!」
そうか、お父さんたちは、まだ、勇者召喚に巻き込まれて、地球ごと異世界に召喚されたことを知らないのか___。
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