第10話 恋バナ

 王様とライラ様と食事中、とんでもない事実が判明した。

 この世界には、星が無いと!

 星が無ければ、趣味の天体観望ができない。これは一大事だ。


「なんで、私たち、異世界であるこの世界に、地球ごと召喚されたのです?もちろん、元の世界に帰れますよね!!」

「いや、すまぬが、元の世界には帰れぬ___」


「そんな・・・」


「召喚した理由だが、実は、我が国は魔王の脅威に晒されておってな。アキコも会ったアルフに勇者を召喚するように命じたら、あやつ、星ごと召喚してしまったのだ」


「それは、おじいさまが、勇者の関係者も一緒に召喚しろ、とおっしゃったからだとお聞きしましたよ」

「だからといって、星ごと召喚するとは思わなかったぞ」


 つまり、世界中の人が、巻き込まれ召喚されたということ?

 そのせいで、星を見ることができなくなったと___。アルフレット絞める‼︎


「アルフレットさんはどこにいるのですかね。お会いしたいのですが!」


 首を絞めるかは、ともかくとして、会って、一言文句を言わないことには気が済まない。


「アルフか?あやつは自由人だからな・・・。わしも見つけ出して文句を言いたいところなのだが___」

「おじいさま!アルフ様のせいにするのは違うと思います。元々、アルフ様は勇者召喚に反対されていたのですから」


「確かにそうだがな・・・」


 そうなのか?一概にアルフレットが悪いとはいえないのか___。


「アキコ様、アルフ様が悪くないとは言いませんが、命令を出したのはおじいさまです。責任はおじいさまにあります!」


 ライラ様は、アルフレットさんの話が出たとたんに、声が大きいな。

 さっきからずっとアルフレットさんを擁護しているし、もしかすると、アルフレットさんを好きなのだろうか?


「ライラ様は、さっきから、随分とアルフレットさんのことを庇いだてしますね?」

「えっ!そ、そんなことありませんよ。___確かに、アルフ様は私の魔法の師匠ですが、あくまで、第三者の視点で、公平に、恋愛感情など抜きに、判断した結果に基づき、話しているだけで、別に、アルフ様のことなんか、これっぽっちも好きではありませんよ。いえ、もちろん、嫌いではありませんが、恋人になりたいだとか、結婚したいだとか、ほんのちょっとしか考えていませんから!」


「ああ、はいはい。ライラ様、わかりましたから落ち着いてください」

「はっ!うーー」


 ライラ様は、真っ赤になった顔を両手で隠してしまった。


「そうか、ライラはアルフのことが好きだったのか___。これはアルフの鎖になるのでは・・・」


 ライラ様のおかげで天体観望できなくなった怒りが、吹き飛んでしまった。

 まあ、天体観望はあくまで趣味で、天文学者になりたかったわけでもないし、星が見れないと死ぬわけでも、寝られないわけでもない。___そういえばなんか眠いわね。

 まさか、食事に眠り薬を入れられたとか・・・。


 だが、よく考えれば、今まで通りなら今は深夜だ。眠くなるのも当たり前である。

 そうなると、夜食をあんなに食べてしまったことになる。後々が怖い。


 しかし、魔王に勇者か。ファンタジー染みて来たわね。


 昼食を食べ終えた後、もう少し話を聞きたい言われのだが、なんとも眠くて仕方がないので、帰らせてくださいと頼んだら、ベッドを用意されてしまった。


 仕方なく、私はそこで、お昼寝することにした。


 ベッドはフカフカで、あっという間に眠りについてしまった。


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