第9話 昼食

 ドレスを選んでいるうちにお昼の時間を過ぎたようで、昼食をいただくことになった。

 ダイニングルームに通され、王様も一緒に昼食をとる。


 食事の内容は、フランス料理っぽいかな?フランス料理を食べたことはないけど___。


「どうかな?こちらの料理は」

「大変おいしいです。私の世界では、フランスという国の料理に似ているかもしれません」


「ほうー。アキコの住んでいる国はフランスではないのか?」

「私が住んでいるのは日本という国ですね」


「どこになる?」


 王様は、大伸ばしにした地球の写真を持って来させ、私に日本の位置を指し示すように言った。


「この、真ん中の島国ですね。ちなみに、この星の名前は地球と呼ばれています」

「星の名前は地球で、それで、ここがニホンか。なら、ここはなんという国だ?」


「この辺が、中国で、こっちはロシアですね」

「違う国が地続きなのか?フランスはどこだ?」


「この写真だと、ちょうど反対側になりますから、写ってないですね」

「アキコの世界では、地の底にも国があるのか?」


「いえ、地の底でなく、星の反対側の地表にありますけど?」

「星の反対側にあったら、落ちてしまうだろう?ああ、ぶら下がっているのか___」


「いえ、いえ。落ちませんし、ちゃんと地に足を着けてますよ」

「・・・アキコの世界は変わっているのだな___」


 何やら、大分、物理法則が違うようなのだが。王様が知らないだけか?

 地球でも、昔はそんな感じだったし、きっと、まだ、これからなのだろう。


「そうなると、アキコの世界には、いくつ国があるのだ?」

「えーと、いくつだっただろう・・・。確か、二百位だと思いますが___」


「二百?!あの星に、そんなにあるのか?」

「たぶん。逆に、こちらの大陸には国は一つなのですか?」


「一つの大陸に、複数の国があることはないぞ。一人の国王が、複数の大陸を治めている場合はあるがな」

「この世界には、この大陸の他にも大陸があるのですか?」


「あるぞ。全部で四十八だな。アキコの星はどういう扱いになるかな?今までこの世界に星はなかったからな」

「星がないのに、星という言葉はあるのですか?」


「ああ、星とは大陸が集まってできたものだろう?将来、この世界にも、大陸同士が集まって、星ができるといわれている」


 この世界では、これから星が作られるのか?中世どころか、神話の時代か!

 あれ、星がないって、夜空の星もないのか?


「あの、もしかすると、夜空に煌めく星もないのですか?」

「夜空に煌めく星?あいにく、夜空に煌めく物は、他の大陸の灯り以外見たことがないな。そんな物が異世界にはあるのか?」


「遥か遠くにある太陽が、夜になると煌めいて見えるんです」

「太陽とは、燃える星のことだったか?本当に存在するのだな!」


「ちょっと待ってください!!まさか、太陽もないのですか?!」

「将来できるだろうと予測されているが、現時点では存在が確認されていないな」


「じゃあ、なんで外は明るいんですか?」

「空が輝いているからな」


「夜はあるのですよね?!」

「空が暗くなったら夜だな。異世界では違うのか?」


 太陽はなく、昼間は空が明るくなるだけ、青空だけど、曇り空といった感じだ。

 空が暗くなれば夜で、星が瞬くことはない。


 これじゃあ、天体観望できないじゃない!!こんな異世界いやだー!!


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る