第6話 ゲート
評価(星)をいただき、ありがとうございます。
感謝を込めて、臨時で公開します。
これからもよろしくお願いします。
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夜だったはずが、突然昼間になって、頭上には浮遊大陸。おまけに、突然男の人が現れて、扉を置いて消えた。
とても現実とは思えないのだが___。
そうだ、家族の安否確認をした方がいいな。
私は現実に舞い戻り、スマホを取り出し、電話をかけた。
だが、繋がらない。
回線がパンクしているようだ。
メールだけでもと思ったが、ネットもダウンしている。
そうなると、災害や事件が起きていないか、情報源はテレビか___。
私は急いで家の中に入るとテレビをつけた。
テレビの中では、浮遊大陸が映し出され、スタジオとレポーターが緊迫した様子でやり取りをしている。
誰も何が起きたか正確な情報を得ていないようで、みんなが好き勝手に憶測を話している。
幸い、混乱はしているが、大きなトラブルは起きていないようだ。___伝わっていないだけという可能性もあるが・・・。
アルフレットの話が本当なら、私が一番現状を正しく把握していることになる。
誰かに伝えた方がいいだろうか?
警察?それとも市役所か?電話は通じないだろうから、直接行くしかないか。
あ、昼間のようだが、時間は夜か。
市役所は閉まっている時間になるな。
だとすると、やはり警察か?
どちらにせよ、話しただけでは、誰も信じてくれないような気がする。証拠が必要だな。
証拠になりそうなものといえば、庭の扉だが___、写真を撮って持って行くか。
スマホを片手に再び庭に出る。
扉の周りを回りながら写真を撮るが、これだけではただの扉のオブジェだ。
扉を開けて、浮遊大陸に繋がっていることを確認しないわけにはいかないだろう。
アルフレットが嘘をついている可能性もあるし、ただの扉だった場合、迷惑なお騒がせ野郎になってしまう。
私は覚悟を決めて、慎重に扉を少し押し開いて、隙間から中を覗き込んだ。
かなり重い扉で、押さえていないと閉じてしまう。
扉の向こうは豪華な室内で、かなり広い。体育館位の広さはある。装飾をされているから、体育館というより、教会の礼拝堂だろうか?
「そうだ、写真を撮らないと」
本当に、扉の先が別の場所に繋がっていたことに、呆気に取られて忘れるところだった。
扉を左手で押さえて、右手でスマホを取り出し、隙間からスマホで隠し撮りをする。
パシャ!
思いの外大きなシャッター音が鳴り響いた。
その途端、左手で押さえていた扉が大きく開かれた。
左手に体重をかけていた私は、そのまま前のめりに転がりそうになり、何歩か踏み出し、なんとか転ばずに大勢を立て直した。
だが、気付けば、扉の向こうで、私は、槍を構えた兵士に取り囲まれていた。
扉の向こうに、見張りがいることを考えていなかった。間抜けもいいところだ。
どうしよう・・・。
逃げられそうにないし、降参の意味で、手を上げた方がいいかな?
私が手を上げると、兵士たちがビクリとして、少し退いた。
兵士の視線が右手に集中している。右手にはスマホを持っていた。
スマホを武器だと思われたか?
私はゆっくり手を下ろし、スマホをポケットにしまった。
そして、ゆっくりとまた、手を上げる。
だが、相手はまるで警戒を解いていないようだ。
そうだ、敵意がないことを言葉で伝えよう。
「敵意はありません。攻撃しないでください!」
そう言ったが、相手にうまく通じていないようだ、首を傾げたり、兵士同士で顔を見合わせている。
あれ?もしかして言葉が通じない!
異世界の国なら言葉が通じなくて当然か___。
でも、アルフレットとは普通に話せていたわよね?
困っていると、兵士の後ろから声がした。
「そこを空けよ」
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