第1章 特別です 06
世界に降りる。
1号は何となく理解していたのか、悲しそうな顔を隠しきれないでいた。
「ではもうリエル様に仕えることは出来なくなるということですね。私はお役ご免ということですか。」
そんなことを言いながら1号は涙を流していた。
「天使様…」
子供のようにわんわんと泣き出した1号がいたたまれない。
ティアは思わず1号を抱きしめ頭を優しく撫でる。
「まぁ、そういう思いがあって、『
チャナは泣き止まない1号には触れず話を進める。
「あの…お話はわかりましたが、どうして『
1号を抱きしめたまま、ティアが尋ねる。
世界に降りる。そんなことができるのならば、後で子供を産めばわざわざ先にティアを創る必要はない。
そこだけが今までの説明だけでは理解できない。
「そんなことは簡単だよ?簡単だよね?これから行く世界のことをリエル様は何も知らないからさ。知識として理解していただけの存在が、先が見えない世界でたった1人。自力で生きて行くことが出来ると思うかい?思わないよね?ましてや女神のチカラも失って全能でもないんだ。女神ベースの常識もないただの少女だよ。それにリエル様は口下手だよ?口下手だからね?コミュニケーションに自信がないことを自覚しているのさ。だから君を創ったのさ。支えてくれる家族が必要だと感じて、初めての家族は異性より同性の娘が良いかな?良いよね?とリエル様はボクに話していたよ。降りることは楽しみ半分恐ろしさ半分なのさ。」
「そんなっ!お世話係が必要でしたら……私でも良かったじゃないですか。
私をお側において下さっても…。」
1号は泣きながら訴える。
この子は本当にリエルを慕っていたのだろう。
悪気はないが、確かにティアの役割はお世話係に近い。
(天使様の言う通り、私じゃなくてもいいのではないでしょうか)
ティアも同じように考えている。
「天使は人類にはなれないよ。同じ創られたものでも構造が違うからね。この場所を離れると壊れてしまうからね?壊れてしまうんだよ?」
「そんな…うぅ…リエル様が…いないのであればどちらにしろ…。
私は…と思われていないのですね。」
泣きながら何かを訴えてる1号。
「それよりも…だ…ティア。自分じゃなくても良いなんて考えないで欲しいな?欲しいね。ボクの大好きなリエル様がどんな思いで君を創ったのかわかっているのかい?いないようだね?リエル様が願った夢の第一歩目である君が、1人目の『家族』である君が、リエル様の気持ちをないがしろにすることは許されないよ?ボクが許さない。」
声に出していない思考が暴かれる。
強まるチャナの口調がティアを震え上がらせる。
突如、女神の逆鱗に触れ、恐怖でティアは涙を流していた。
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