第1章 特別です 05

「準備する。」


そう言い残し、リエルは部屋を出た。

チャナは微笑ましく、それを見送る。


「さて、リエル様が戻る前に説明を終わらせておこうかな。」


そう言ってティアに向き直る。


「ティアは特別。リエル様が君に対してずっと言ってるようだけれど、君は『御子みこ』として創られているよ。1号は見当がついたのかな?ついたようだね?」


1号が首肯する。


「ティアのために『御子』の説明をしようか?しちゃうね?『御子』って言うのは女神がただ一度だけ創れる女神の子供のことさ。本当の意味での子供と考えて良いよ。繋がりは血よりもっと濃いものだと今は理解すれば良いよ。おおよそは創造した女神と同じことが出来て、名前を与えられ、新しい女神となる。ここまでは良いかな?良いよね?」


「はい。でも、そうするとリエルさんは私のお母様ということになりますね…。

あっ!先程、私は人類だと伺いましたが。」


1号はあれ?と首を傾げる。


「そう。それが特別というかイレギュラーなんだよ。リエル様は女神としてティアを創っていないんだ。自分の願いを叶えるためにね。」

「家族…」

「そうだね1号。順番に話そうか?話すね?そもそも『御子』を創ることなんて他の女神でも滅多にしないんだよ。だって現状困らないし、何だかコピーみたいだしね。その子がお痛おいたをしたら責任は親女神が取ったり、一緒に消滅することもある。リスクしかない。けれどもリスクより、可能性に賭けたみたい。自分の夢を叶えるために。滅多に創られないからこそ、どんな風に創ろうが、こんなもんじゃない?こんなもんだよね?って言い切るってさ。誰に対しての言い訳なんだろうね?」


創ったもん勝ち。

そういいながらどんな風に創作しようか考えを巡らせていたのだろう。


「女神という存在がリエル様の中で魅力が無くなった状態で創っていたからこそ、『御子』を女神にしたくないって思っていたのかな?思ったんだよね?だから自分の子供として『御子』を創ったけど、女神のチカラを与える前に目覚めさせた。チカラがないんだから人類だと言い張ることにしたんだよ。それが特別でイレギュラーだということかな。」


「それでもこの場所で人類は生活出来ませんよ。」


どこか悲しそうな顔で1号は呟く。


「だからね、リエル様は『御子』と一緒に世界に降りることにしたのさ。」

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