第466話 【勝ち進む者達・2】
会場を出た後、部屋に戻ってきた俺は抱えていたイリスをベッドに寝かせた。
「試合お疲れ様、凄く良い試合だったね」
「ジン君、試合お疲れ様。イリスちゃんとの試合、楽しめたよ」
「二人共ありがとう」
戻ってくると、クロエ達はそう俺に言って出迎えてくれた。
「イリスちゃん、大会中にも成長してたみたいだね。訓練では見た事無い位に良い動きしてたね」
「ああ、実際に戦ってみて成長を感じたよ。大会に参加して良かったなって、イリスの成長を感じて改めてそう思ったよ」
「多分、相手がジン君だからだとも思うよ。ジン君と戦う時、イリスちゃんいつも以上の力が発揮する時があるからね」
クロエとレイはベッドで静かに寝てるイリスを見ながらそう言うと、会場の方では次の試合の準備が終わり対戦が始まろうとしていた。
次の戦いは、クロエに勝利したヨルドとエリスさんの戦いだ。
「この組み合わせだと、ヨルドの方が優勢だな……エリスさんは純粋な魔法使いタイプだから、接近戦に持ち込まれたら一気に決められそうだ」
「そうだね。でも、エリスさんもそれは分かってると思うから、何かしら対抗策を用意してるんじゃない?」
「ヨルドの動きに対抗するとしたら、多分同じ接近技じゃないと難しいと俺は思う。魔法だと、相当威力の高い魔法じゃない限りは押し切られるだろうな」
そう言うと、クロエは「私の場合、相手の能力を考えてなくて負けたもんね」と言った。
「それもあるが、クロエの場合はヨルドの戦法にまんまとハマってしまったっていうのもある」
「うん。戦ってる時、あの人の思うように動かされてた感じがする」
「ヨルドは能力もそうだが、戦い方が上手い感じだったからな、あれは俺達には無い経験の差だろうな……俺達は言っても、冒険者になって5年も経ってないが、ヨルドは兵士時代も合わせたら相当色んな修羅場を超えてきてるだろうからな」
そう俺達は話をしてると、試合開始の合図が鳴りヨルド対エリスさんの試合が始まった。
エリスさんはまず試合開始と同時に、ヨルドから更に距離を取り魔法を連続で発動させた。
その全てをヨルドは回避しながら、魔法を撃つエリスさんへと近づいていった。
しかし、エリスさんもそう簡単にヨルドを近づけさせず、魔法を上手く使いヨルドとの距離を一定に保っている。
「エリスさん、凄い。ヨルドさん相手に距離をちゃんと取れてる」
「魔法を放つところが良いよね。ヨルドさんが行こうとしてる所に、先に魔法を撃って動きを止めてる」
「経験の差というより、あれはここまでのヨルドの動きを研究して予測してるんだろう。ヨルドは情報の制限をしてないから、集めようと思ったら情報を集められるからな、前もってヨルドの対策をエリスさんはしていたのかもしれんな」
エリスさん達は前もって大会の事を知っていたから、ある程度強者の情報は集めているだろう。
その中にヨルドの情報もあって、こうして今の試合に活かしてるのかも知れない。
そう俺達は思いながら戦いを見守っていると、ヨルドはこれまでとは違う動きをはじめた。
ここまで体術を基本的な戦いのベースにしていたが、ヨルドは急に魔法も使うようになった。
「あの人、魔法も出来たんだ」
「一応、情報では魔法も使うみたいな事が書かれてたが、殆ど使わないって書かれてたな……だけど、魔法に関して言えば今の見た感じだと、エリスさんの方が魔法の腕は上みたいだな」
ヨルドの魔法は見た感じ、レイと同じように戦いのサポート用に使うみたいな感じで使われている。
足場として使ったり、相手の視界から自分を消すにヨルドは魔法を使い、エリスさんとの距離を徐々に縮めて行っていた。
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