第465話 【勝ち進む者達・1】
レイの試合後、疲労が溜まってるレイは観戦はせずにクロエの隣で休む事にした。
その後の試合もまた面白く、見ごたえのある試合が続いた。
そして全組み合わせの一試合目が終わり、8名の通過者が決まった。
「うう、緊張します……」
「さっきまでは、俺と戦えるのが楽しみって言ってのに急だな?」
「そ、そうですけど……」
8名の通過者が決まり、第一試合勝者のイリスは第二試合勝者の俺との勝負を前に緊張していた。
そうこうしていると、係の人が呼びに来たので俺とイリスは別々の通路を使い会場に向かった。
会場に出ると、観客は大盛り上がりで迎えてくれた。
俺の試合という事もあるが、この試合は俺の唯一の弟子であるイリスが出る。
弟子対師匠、師弟対決を見れる観客は盛り上がり、俺とイリス両方を応援している。
「イリス。そんなに緊張しなくても、いつも訓練で戦ってるだろ?」
「そ、そうですけどここは別というか……」
「まあ、こんなに人に見られたら緊張もするだろうけど……下手な試合を見せたら、俺もクロエ達もがっかりするぞ?」
その俺の言葉にイリスはビクッと反応すると、オロオロしていたイリスは自分の頬を叩き深呼吸をした。
「すみません。ジンお兄さま、もう大丈夫です!」
「よしっ、いつものイリスだな。それじゃ、試合楽しもうか」
そう話を終えた俺達は距離を取り、試合開始の合図を待った。
「それではこれより、イリス選手対ジン選手の試合を始めます。お二人共、準備はよろしいですね? それでは、はじめッ!」
合図と共に俺とイリスは同時に刀を抜き、互いに接近して刀と刀がぶつかった。
一刀流スタイルの俺とは違い、イリスは二刀流スタイル。
手数が多いが、一振りに込める力は俺の方が上。
イリスは俺の攻撃を二刀の刀で受け止めると、俺の刀を逸らし攻撃に転じて来た。
「甘いぞ、イリス!」
「ッ!」
攻撃を仕掛けようとしたイリスに対し、俺は下から上に刀を振り上げイリスの攻撃を打ち返し。
更に体を一回転させて、もう片方の刀にも攻撃を加えイリスの攻撃をはじき返した。
今の俺は【身体強化】に加え、【空間把握】のスキルを使用している。
その為、イリスを見てない状況でもシッカリと目で追えている。
「流石、ジンお兄さまですね。そんな無茶な動き出来る人いませんよ……」
「イリスも訓練したら出来る様になるさ、さてと次は俺から行くぞ」
そう言って俺は、次は俺からイリスに攻撃を仕掛ける。
一刀流の俺が二刀を扱うイリスに対して、手数で勝負するのは分が悪い。
そうなると、一発一発の攻撃を強力にする必要があり、俺はイリスと距離を取り竜刀流の構えをした。
その構えを見たイリスは、同じ流派の刀を習っていた為、慌てる事無くイリスも受ける構えをとった。
俺はそんなイリスに対し、そのまま構えをとったまま攻撃を仕掛けた。
「——ッ!」
イリスはどんな技が来るか分かっていたが、俺の攻撃力は高く刀で受け止めたが数㎝後ろに押された。
「まだまだ足腰の鍛錬が足りないな、帰ったら基礎訓練をもっと増やすぞ」
そう俺は言って、そこから俺とイリスの激しい刀での攻防戦が始まった。
読み合いが続く中、イリスは俺の動きをこれまでの訓練の中でも見てきている為、大体の読み的中して俺の攻撃を受け止めていた。
そんなイリスを見て観客は、普通に俺と戦えている事に驚き、イリスの応援が徐々に増えていっていた。
「ハァ、ハァ……」
「……」
試合開始から10分程、俺の攻撃に耐え続けているイリスだったがかなり体力を消耗していた。
逆に俺は自分のタイミングで攻撃してる分、まだ余裕がある。
「フゥ~……ジンお兄さま、私はそろそろ限界です。なので次の攻撃に全力を注ぎます。受けてくださいますよね?」
「弟子からそう言われて、逃げるわけにも行かないな……全力でこいッ!」
イリスからの申し出に俺はそう言葉を返すと、イリスは「ありがとうございます」とお礼を言うと、イリスは深呼吸をして態勢を整えた。
イリスは数秒魔力を溜めると、一気に俺に攻撃を仕掛けた。
「ドォッ!」
イリスの攻撃を刀で止めた俺だが、その威力は凄まじかった。
訓練時でもここまでの威力は出した事が無い、この大会中にもイリスは成長していたんだな……。
弟子の成長を喜びつつ、イリスの攻撃を受けきるとイリスは全ての力を出し切り、そのまま気を失って倒れた。
「勝者、ジン選手ッ!」
試合結果を見ていた審判は、そう俺の勝利した事を宣言した。
すると、それと同時に会場中から歓声が巻き起こり、俺とイリスを褒め称える言葉を貰った。
俺はそんな観客の人達に対して手を振り、気絶してるイリスを抱えて会場を出た。
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