第446話 【竜人国からの招待・4】
宿に帰宅後、丁度夕食の時間で食堂に降りると、先に皆が集まっていた。
「ジン君、おかえり。さっき、部屋に呼びに行ったら居なかったけど何処か出掛けてたの?」
「うん。ちょっと、ハンゾウの店と師匠の所にね。後で、皆に情報の共有をしたいから俺の部屋に集まってくれる?」
その後、俺達は夕食をご馳走になり、食事の後に俺の部屋に集まった。
そして部屋に皆が集まったのを確認した俺は、まず最初に姫様から伝えられた竜人国の招待について話をした。
「その話、街で買い物してる時にチラッと聞いたよ。私達が居ない間に街が完成して、そこでお祭りがあるんでしょ?」
「そうだ。その祭りに俺達は招待客として、竜人国から招待されてるみたいなんだ。本当はもっと早くに知らせる予定だったらしいけど、俺達が迷宮に籠ってて渡せなかったと言われて渡されたけど、祭りまでもう直ぐらしいんだ」
そこで俺は皆に祭りに行くかどうか聞いてみると、全員祭りに参加すると言った。
「レンも行けるのか?」
「魔法玉の研究も落ち着いたからな、気分転換に丁度いいと思ってな」
「へ~、ナシャリーさん達は魔法玉の研究が行き詰まってるって言ってたけど、レンは進んでるのか?」
そう聞くと、レンは「師匠が研究に行き詰まってるのか?」と信じられないと言った顔で言った。
「一ヵ月前の時点で、レンが半分まで進んでるって言ったらナシャリーさんも驚いてたよ」
「まあ、確かにあの玉は不思議な力で作られてて難易度で言えば相当高いけど、それでも師匠が行き詰まる程か?」
「研究施設の設備の差ってのもあるんじゃないか? レンの場合、金を掛けてあの研究所作ってるだろ? 師匠達の場合、空島で研究してるからレン程の設備が整って無いんじゃないか?」
「……それはありそうだな、まあでも設備の差だとしても師匠に勝ってるならこのまま更に研究を続けて、先に魔法玉の研究を終わらせて師匠に自慢するか」
レンは楽しそうに笑みを浮かべながらそう言うと、イリスは「私もお手伝い頑張ります!」と二人は楽しそうにしていた。
その後、皆で祭りに参加する事は決まったのでこの話は終わりにして、次は資料で見た悪魔の見た目をした者についての話を始めた。
「一応、こっちに関しては師匠が動いてくれる事になったから、皆に動いてもらう事は無いとは思うけど、一応頭の中に入れておいて欲しい。もしかしたら、何処かで会うかも知れないから」
そう言うと、クロエ達は資料に描かれている似顔絵を確認した。
「黒髪黒目で悪魔みたいな角……」
「竜人国はこれから大勢の人が集まる場所だから、もしかしたら紛れ込んでる可能性もある。そいつが悪魔なのか、人間なのかは現時点で分からないし、悪魔だからといって俺達の敵かもわからない。だから今は警戒だけしておいてくれ」
その言葉にクロエ達は返事をして、話し合いは終わりにして部屋から出て行った。
その後、俺は一旦部屋の外に出て姫様の部下が泊ってる部屋に行き、祭りに参加する事、それと件の悪魔に似た人物について伝えた。
「わかりました。これに関しては、姫に伝えておきます」
「頼んだよ」
もう長い付き合いのその人物はそう言うと、そのまま宿の外に出て行った。
姫様の部下を見送った俺は部屋に戻ろうとすると、リカルドが食堂から出てきた。
「んっ? 今、外に出て行った奴は姫様の部下の奴じゃないか、何かあったのか?」
「いや、ただ祭りの返事を頼んだだけだ。俺達が迷宮に籠ってて、聞けなくて今日どうするか聞かれたんだ」
「その事か、それでジン達の事だから参加するのか?」
「勿論、武の街と名付けられてるみたいだから楽しそうな催し物がありそうだからな」
リカルドから聞かれた俺はそう言うと、リカルドは何か言いたそうな顔をしていた。
「な、なあジン……もし、良かったらだけどその国まで俺達も一緒に連れて行ってくれないか?」
「んっ、祭りにか? 別に良いけど、宿の事はいいのか?」
リカルドの言葉に即答すると、リカルドは「い、いいのか!?」と驚いた顔をしてそう言った。
「別に断る理由は無いだろ? どうせ転移で行く予定だから、人数が増えても問題ないしな、それより宿の方はいいのか? リカルドが行くって事は、ルリ達も連れて行くんだろ?」
「宿の事は大丈夫だ。ジン達以外は全員既に祭りに行く事は確認取ってるからな、ただジン達の確認が取れなくて馬車の予約をすっかり忘れててな、ジンに送ってもらえないか頼もうと思いつつ声を掛けられなかったんだ……」
「おっさんがモジモジしながらそんな事言うなよ……」
その後、リカルドは嬉しそうな顔をしながら「う、煩いな! 早く寝ろよ!」と言って、奥の方へと消え、俺も自分の部屋に戻った。
部屋に戻った俺は、今日は一日色んな所に行って疲れていたのか、ベッドに横になると直ぐに眠りについた。
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