第447話 【武の街へ・1】


 翌日、俺達は早速旅行に行く準備として、それぞれ役割を決めて動く事にした。

 その中で俺の役割は、姫様に改めて伝える役割を担い、俺は朝から姫様の所へと来ている。


「竜人国の方に、ジン達が来ないと伝えないで済んで良かったわ。それで、いつ竜人国に行くのかしら?」


「そうですね。泊まる所は、招待状に用意してあると書かれてましたけど、リカルド達も一緒に行くみたいなんで少し早めに向こうに行こうかなと思ってますけど……もう宿自体探すの厳しいですよね?」


「そうね。明後日だから、もう宿をとるのは難しいと思うわ」


 姫様からそう言われた俺は、俺達の為に居残っていたリカルド達をこのままだと野宿させる事になってましうと思い、どうするか悩んだ。


「ジン。そんなに悩む必要は無いわよ。竜人国の方達も、ジンがもしかしたら知人を連れてくるかもしれないって予想して、多めに部屋は用意してくれてるわ。だから、そこにリカルド達も泊まらせたらいいわ」


「えっ、そこまで用意されてるんですか!?」


「竜人国にとってジンはドラゴン族の次に大切な人だと、ジンの刀の師匠の方がこっちの国に来た時に熱く語っていたわよ?」


 リュドラさん!? 何てこと言ってるんですかッ!

 そう俺は心の中で叫び、項垂れた。


「……まあ、もう過ぎた事ですから一旦忘れます。取り合えず、リカルド達の泊まる場所も確保出来てるなら良かったです」


「ふふっ、本当にジンはリカルド達の事が好きなのね。お金を持ってるのに、家を買わないのはあの宿の人達が好きなんでしょ?」


「好きか嫌いかで言えば、好きですよ。俺が冒険者を始めた頃から世話になってますし、リカルドとはよく話も合いますからね」


 姫様の言葉にそう返すと、姫様からある事を聞かれた。


「そう言えば、ジン達って今は何を目標にしてるのかしら? 前までは強くなる為とか言ってたけど、もう既に十分強いんじゃないの?」


「そうですね。〝遊戯神の迷宮〟の攻略は目標の一つですけど、それ以外ですとイリスをより強くする事ですかね?」


「自分達が強くなった後は、弟子の強化なのね。本当にジン達はずっと強さを求めてるわね」


「俺達は冒険者ですからね~、後は目標としてあまり動いてませんけど冒険者のランクを上げる事も目標の一つですかね?」


 ルークさん達の情報を聞いて、俺もそろそろ冒険者活動をちゃんとやってランクを上げようかなと思い始めた。


「ジン達って、ずっと早いペースで冒険者のランクを上げていたけど、金級冒険者になってピタッと止まったものね。普通は驚かないけど、ジン達なのに何で上げないのかしら? って疑問には思っていたわ」


「上げなかった理由は勿論ありますよ。丁度、周りが煩くなり始めて、ここで更にランクを上げたらもっと煩くなるなって思い、話し合って一旦ランクを上げるのは止めておこうって事になってたんです。それで最近は、大分落ち着いてきましたし、そろそろ上げようかなって思い始めたんです」


「そうなのね。まあ、ジン達が本気でランク上げを始めたら、直ぐに最上位の冒険者になれると思うわ。楽しみに待ってるわね」


 そう姫様が言った後、姫様も用事があるらしく話し合いは終わりにして、俺は宿に帰宅した。

 宿に帰宅後、俺は宿の奥で作業していたリカルドの所に行き、向こうでの宿について話をした。


「ジン、助かったぜ。昨日、アイラ達に竜人国に行けるって伝えた時に、宿の事をすっかり忘れててどうするかって悩んでいたところだったんだ」


「まあ、宿をとれなかったのも、馬車の予約が間に合わなかったのも俺達のせいだかな、竜人国側が用意してくれていて俺もホッとしたよ」


 そう言った後、丁度ルリとアイラさんも来たので宿については解決した事を伝えた。


「良かったわ。宿が取れてないのに、竜人国に行ってどうしようかって悩んでいたのよね。それで、朝からルリも落ち込んでたし、本当にジン君ありがとね」


「いえ、俺達が迷宮に籠ってたせいなのでお礼はいいですよ」


 その後、楽しそうな雰囲気のリカルド達と別れて、クロエ達が戻ってくるのを部屋で待つことにした。

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