第442話 【新体制での迷宮探索・3】
探索を再開をした俺達だが、探索する階層を一気に上げて110層へとやって来た。
迷宮に降りた瞬間、イリスは雰囲気がガラッと変わった事に気が付いた様子だった。
「じ、ジンお兄さま、ここって何階ですか?」
「110階だよ。101から109まではボス部屋が続いてて、イリスでも厳しいと思ったから、次はここでレベル上げをしようと思ってな」
「110階……私でも戦力になれますか?」
「問題ないと思う。それにここは探索エリアだから、そこまで強い魔物は出ない。まあ、多少さっきまでのエリアとは魔物は強くなってるがイリスが戦力にならない程では無いから、安心して良いぞ」
不安に感じてるイリスにそう言うと、クロエ達もイリスを元気づけて探索を始めた。
勿論、この階層に来たという事は採取も同時に行う為、イリスには戦いと採取の同時に参加してもらう事にした。
「それにしても、イリスは採取の腕がどんどん上がってるな……やっぱり、レンの助手になったからか?」
「そうですね。レンお兄さまの助手として働くようになって、より素材を大事にするようになりました。今まで触れた事のない物も、研究所にはあってより気を付ける様になりました」
「イリスは何でも飲み込みが早いから、つい色々と教えてしまって素材の採り方も教えていたんだ」
レン曰く、イリスには既に俺達が攻略してる階層までの素材について取り方からどんな物に使うのか全て教え込んでいるらしい。
レンの助手になったとはいえ、俺達の弟子でもあるイリスは助手として働くには時間があまり無かった筈だ。
何処にそんな勉強する時間があったんだ?
「迷宮探索とかしながらで、よくそんなに詰め込んだな……イリスも大丈夫だったのか?」
「はい! 勉強はお兄さま達と会った時から好きになっていて、自分の知識が増えていくのが楽しかったです!」
「とまあ、こんな感じで途中から俺が教えるというより、イリスから色々と聞かされてそれに調子に乗って俺も教えたって感じだ」
「成程な、迷宮探索とかで時間が無かったのによく勉強する時間があったな……もしかして、睡眠時間削ったか?」
俺の質問に対して、レンとイリスはギクッと体を硬直させた。
この反応からして、多分寝る間も惜しんで勉強していたんだろうな……。
「あまり無理はするなよ? 睡眠は人間にとって大事だから、あまり無茶してると狩りに影響が出るからな」
「はい! これからはちゃんと寝ます!」
「俺も悪かった。今度から、ちゃんと時間を決めて終わらせる」
二人はそう俺に頭を下げて謝罪をして、俺は二人とこれからはちゃんと寝るという約束を交わした。
「さっき、イリスちゃんとレン君がジン君に謝ってたけど、何かあったの?」
あの後、迷宮探索を終えた俺達は迷宮の家に戻って来た。
その際、クロエから探索中にイリス達が俺に謝ってるのを見ていた様でそれについて聞かれた。
「イリスが睡眠時間も削って、勉強していたみたいでなそれの容認してたレンが一緒に謝ってたんだよ。採取の時に、あまりにも素材の採り方を知っててそれで聞いたら発覚してな」
「そうだったんだ。イリスちゃんが眠そうにしてる所見た事無かったから、そんな夜更かししてるなんて気付かなかった」
「俺もだよ。今まで大丈夫だったかも知れないけど、これから夜更かしのせいで事故が起こるかも知れないからって注意をしたんだ」
そうしてクロエにイリス達が謝罪していた内容を教えた後、俺は風呂に入って一日の疲れと汚れを落として、リビングに戻って来た。
そして皆が揃うと、夕食が用意されて俺達は夕食を食べて、それぞれの部屋に入って休む事にした。
「それにしても、イリスの努力家な部分は評価できるけど寝る間も惜しんで勉強していたとは俺の管理不足でもあるな……」
イリスがどれだけ頑張り屋なのか分かっていたつもりだが、まさか寝る間も惜しんで勉強していたなんて気づく事は無かった。
今回早めに注意できたから良かったけど、もしこれが知らないままだったらいつの日か大きな事故に繋がっていたかも知れない。
「レンもレンで研究気質な所があって、こういう事になるかも知れないという事を失念していた。あの二人を放った置いた俺の責任だ。これからはちゃんと仲間の体調に関しても、もっと注意深く見ておかないとな……」
そう俺は一人反省会を行い、眠りについた。
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