第410話 【英雄達の弟子・3】


 竜人国に久しぶりに来た俺は、まず竜人国の王城へと向かいリュドラさんが居るか尋ねた。

 すると、兵士さんに声を掛けてるタイミングで場内の敷地内からリュドラさんがやって来た。


「あれ、ジン君? 何でここにいるの?」


「リュドラさんに少しお聞きしたいことが会って来たんですけど、今って時間大丈夫ですか?」


 突然の申し出で断れるかもと思いながら聞くと、丁度仕事が終わって帰宅する所だったと言われ、俺は一緒にリュドラさんの家に移動した。


「それで用事ってのも何かな?」


「はい。実は先日、二年程前に知り合って子がいまして、その子を俺達の弟子として迎える事になり、俺はその子に刀術を教える事になったんです」


「ジン君達に弟子? それは凄いね! それに刀を使える子ってのも珍しいね」


「刀自体は持ってみていい感じだったので、教えるって事なったんです。それでリュドラさんの所に来たのは、リュドラさんから教えて貰った刀の使い方を教えても良いのか許可を取りに来たのと、どういう風に教えたらいいのかアドバイスを貰いに来たんです」


 一応、俺が使ってる刀の扱い方はリュドラさんに教えて貰ったものだ。

 それを勝手に他の人に伝授するのは、教えて貰ったのに失礼かと思いこうして聞きに来た。


「態々、許可を取らなくてもジン君なら誰に教えても良いよ。今じゃ、ジン君の方が使い手としては有名だからね」


「有名だからと言って、こういう事を蔑ろにしては駄目ですから、それにリュドラさんから教えて貰ったおかげで俺は刀の良さをより深める事が出来ましたから」


「ふふっ、そう言ってくれるのは嬉しいね」


 リュドラさんは笑みを浮かべながらそう言うと、リュドラさんから俺が今後教えたいと思う相手が現れた教えても良いという許可を貰った。


「それでもう一つの教え方のアドバイスだけど、その弟子の子はまだ刀を持ち始めた段階なんだよね?」


「はい。先日、ガフカの工房で刀を手に取った際に自分に合ってると言って、教える事になったんです」


「それなら最初はまず、単純に体を鍛える事も大事だよ。私達が使ってる刀の扱い方はどれも力が必要だからね」


 竜刀流の技は基本的に身体能力が高くないと、威力が弱くなってしまう。


「それでその身体能力の強化が終わった後だけど、次に大事な歩き方と構えだね。ジン君は既に自分なりに訓練していたから、ある程度は出来ていたけど初めての子だと、どうしても従来の剣術の様な構えや歩き方になってしまうからね」


「そうですね。俺も最初は剣術を使っていて、そこから刀術に切り替えた際は構えに違和感がありました」


 その後も俺はリュドラさんから、刀術の教え方について色々と話を聞いて、聞いた内容は全てメモに取った。


「とまあ、こんな感じだね。もし、また分からない事とかあればいつでも聞きに来て良いからね」


「はい。突然のお願いでしたが、こんな長い時間取ってくださりありがとうございました」


 そう俺はリュドラさんにお礼を言い、お礼の品としてレンの作った薬と迷宮でとれた鉱石をいくつかリュドラさんに渡した。

 お礼の品の為に教えた訳じゃないからと断られたが、俺もお礼の品を渡したいからと言ってそこで暫く言い合いとなった。

 結果は俺の粘り勝ちとなり、リュドラさんにお礼の品を渡して俺は王都へと戻って来た。


「戻って来たか、ジン。お前に手紙が来てるぞ」


「手紙?」


 宿に戻ってくると、リカルドからそう言われて手紙を受け取って中身を確認すると、手紙の差出人は姫様だという事が分かった。

 その手紙の内容を確認すると、どうも俺達が弟子をとった事が既に噂されているようで、それの事で話を聞きたいという内容だった。


「何だ? また呼び出しか?」


「ああ、イリスの事でな、俺達が弟子を取った事が既に噂されていて、それについて聞きたいって」


「まあ、お前等に弟子が出来たら誰だって驚くだろうし、噂もされるか……」


 その後、俺は手紙に明日来れるなら来て欲しいと書いてあった為、クロエ達に明日の朝に姫様の所に行く事を伝えた。

 元々は迷宮の攻略に向かう予定だったが、姫様との話が大事な為、皆は予定の変更を了承してくれた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る