第409話 【英雄達の弟子・2】
イリスを揶揄い終わった後、俺達はどの順番でイリスの訓練を見るのか話し合いを始めた。
「こういうのは本人に聞くのが一番いいけど、イリスは最初に何を習いたい?」
「えっと、レンお兄さまの錬金術は手伝いながらという話でしたよね?」
イリスの言葉に俺は頷き「一気に教えると、イリス自身がきつくなるらな」と言って、どれを選ぶかイリスに聞いた。
「でしたら、最初はクロエお姉さまの魔法を学びたいです。自分で色々と頑張ってきましたけど、まだ自分の魔法に納得言って無いので色々と聞きたいです」
「了解。じゃあ、明日から訓練しよっか」
イリスの話を聞いたクロエは、嬉しそうにそう言った。
「私達は後だね~」
「まあ、イリスがやりたいことからした方が良いからな、それに後からって事は訓練内容も色々と決めてから始められるからな」
「そうだね~、今直ぐにしようってなっても何から教えようか決まってなかったから、私としても良かったかも」
そうして話し合いが終わった後、俺達は今日の迷宮攻略の話をイリスにした。
イリスは俺達の話を聞いて、益々迷宮に興味を持っていたが挑むには最低でも3人は必要だと教えると落ち込んでいた。
「イリス、どうしたそんなに落ち込んで?」
「お兄さま、お姉さま……私、今まで一人でここまで来てしまって仲間と呼べる人が居ないんです」
「ん~、まあそれは俺達の助言のせいでもある訳だからな……」
イリスが冒険者をするなら、最初にパートナー登録をした方が良いと俺達はおススメして、イリスはその通りにしていた。
しかし、未だに報酬金の一部を払う制度に対して、よく思われておらずイリスは仲間を作る事が出来なかったみたいだ。
「う~ん……俺達の仲間にって誘いたいけど、あまりにも力の差があるから行ける場所が限られてくるからな……」
「最低でも50レベルは無いと、正直危険な所も行くから心配で一緒には行けないもんね」
「お兄さま達は凄いですからね……」
俺とクロエの言葉に、イリスはシュンッと落ち込みながらそう言った。
そんな落ち込みムードの中、レンは「レベル差なら、これからの訓練でどうにかすればいいんじゃないか?」と珍しい提案を言った。
「珍しいな、レンがそこまで言うって」
「イリスのステータスを見た限り、これからかなり成長するだろうから他の知らない相手と組ませる位なら、俺達が責任をもって協力して成長させて一緒の仲間として動いた方が俺は良いと思う」
「レンお兄さま……」
レンの言葉にイリスは感動したようで、涙を目に浮かべながらそう言った。
「レン君がそこまで言うって、どうしたの? イリスちゃんに惚れた?」
「……レイが馬鹿なのは今更どうでもいいけど、ジンだって俺と同じ考えだろ?」
「イリスを一人になるようにしてしまったのは、俺達のアドバイスのせいってのもあるからな、イリスの成長次第と本人の希望があればって感じだな」
そう俺はレンに言い、イリスに視線を向けて「イリスはどう思う?」と尋ねた。
「その、私としては一人でこのままずっと行くのは辛いですし、仲間は欲しいです。その仲間がお兄さま達だったら、本当に嬉しいんですけど足手まといにはなりたくはないです……」
イリスはそこで一呼吸おいて、真剣な顔で俺達を見て続けて言葉を言った。
「なので、本当に私だからと優しさで仲間にするのではなく、お兄さま達が仲間にしてもいいレベルになったら誘って欲しいです。これから訓練も沢山頑張って、冒険者としての知識も増やしてお兄さま達のお役に立てる様になるので、その時が来たらまた誘ってください!」
その言葉にクロエとレイは「イリスちゃ~ん!」と叫びながら抱き着き、レンも満足した顔で頷いていた。
「そうとなれば、俺達も気合を入れ直さないとな、イリスを仲間に迎え入れるには俺達の努力も大切だからな」
「「うん。頑張るッ!」」
クロエとレイは息を合わせてそう同時に言い、レンも「沢山、詰め込むから着いて来るんだぞ」とイリスに言った。
話し合いを終えた後、クロエとレイは人に対しての教え方を勉強してくると言って、宿に居るルークさん達の所へと聞きに行った。
「イリスとレンはこれからは拠点に行くのか?」
「まだ設備の説明が全部終わってないからな、それが終わったら戻ってくるよ」
「行ってきます。ジンお兄さま」
そうしてイリスとレンは、二人で拠点へと向かったので俺は一人となり、俺も【刀術】を教える為にリュドラさんの所へと向かった。
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